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ハンディカムにミラーレス、アクションカメラ 目的別4Kビデオカメラの選び方

テレビ番組で使用するカメラというと肩乗せの大型カメラを想像するのも今は昔。20年ほど前からでしょうか、小型の業務用カメラや民生機も良く使われるようになりました。4Kの時代になってもその流れは変わらず、最近ではすべてiPhoneで撮影したという映画まで登場してきました。理由は小型カメラの高画質化と予算の部分が大きいですが、被写体に威圧感を与えない、三脚やバッテリーといった周辺機材もコンパクトにできて機動力が上がる、独特の臨場感といった小型カメラならではのメリットも多いからです。要は適材適所ということですね。そこで今回は、ビデオカメラを購入するにあたって、その撮影する目的から機材選びのヒントを考えていきたいと思います。

スマホの動画もちょっと一工夫

スマホで気軽に動画が撮影できる現在、多くの方がそれで十分満足しているのではないでしょうか。実際にひと昔からは考えられないくらいキレイに撮影できる機種も多いですし、先ほど書いたようにiPhoneで撮影された映画まであります。つまりスマホの動画機能は、照明などの条件さえ整っていれば画質的には何の問題もないレベルまで達しているということです。スマホ動画のクオリティを上げるオプションもいろいろ販売されていますが、代表的なのが手振れ防止用のスタビライザー(ジンバル)と交換レンズ。特に交換レンズはかさばらない小さなものも多いので、普段からちょっとカバンに入れておくと全然違う映像が撮れると思います。また三脚に乗せれば、ちょっとしたイベントなんかも結構しっかり撮れちゃいます。

スマホで撮影できない動画ってどんな動画?

ではスマホ以外のビデオカメラが欲しくなるってどんな時でしょうか? ざっと羅列してみました。

ズーム、望遠機能が欲しい撮影
一番最初に思いつくのはこれではないでしょうか。運動会、スポーツの大会などはスマホでは操作性の問題もあり、とても撮りきれません。また舞台や演奏会なども三脚にのせて望遠レンズで撮影した方がいい映像が撮れることが多いです。

高画質での撮影
スマホの映像も綺麗ですが、レンズやセンサーサイズが大きいカメラの動画は一目見て違います。結婚式や披露宴、パーティなどは、さらなる高画質動画で撮影しておきたくなるかもしれません。

高感度での撮影
これは意外と盲点で、夜や室内など暗いところで撮影した動画がノイズだらけでガッカリしたことはありませんか? センサーサイズの大きなカメラは高感度にも強いです。

長時間撮影
撮影が長時間に及ぶと、スマホのバッテリーや容量の問題のほか、撮影中に電話が掛かってきてしまうかもしれません。頻繁に動画撮影があるならビデオカメラがある方が断然便利で使いやすいです。

過酷な場所での撮影
スマホはビデオ以外の使い道がメインなので、万が一壊したり落としたりすると大変です。海やスキー場など防塵防滴機能などがあると安心して撮影出来ます。

ビデオカメラってどんな種類があるの?

スマホで撮影出来ない動画はいろいろありますが、実は動画を撮影できるビデオカメラにもいくつかジャンルがありまして、ハンディカムなどの一般的なビデオカメラ系のほか、GoProに代表されるアクションカメラ系、動画機能のあるデジタル一眼レフやミラーレスカメラ系の3つに大きく分けられます。それぞれ得手不得手があるので、ちょっと整理してみましょう。

ハンディカム系
一昔前は動画撮影と言えばハンディカム系一択でした。一番のメリットはズームなどの操作性で、運動会やスポーツなどの動体を撮影するには一番の選択技と言えるでしょう。最近のものは手ぶれ補正が強力なので、三脚なしでも望遠ズームで安定した撮影ができます。長時間撮影も問題なく、標準状態でもそこそいいマイクが搭載されているので、舞台やイベント撮影にも向いています。4Kモデルなら、HD撮影するとデジタルズームで倍率をさらに上げることも可能です。

アクションカメラ系
防水防塵対ショック性に優れたビデオカメラで、GoPro以外にもいくつかのメーカーが出しています。360度カメラもこの用途に近いでしょう。棒の先端に付けて俯瞰を撮影したり水中に突っ込んだり、工夫次第でいろいろな映像が撮影出来ます。モバイルバッテリーをつなげて定点観察用の置きカメラとして長回しするにも最適です。基本的にはワイド系一択なので、遠方の撮影には向きません。

一眼・ミラーレスカメラ系
センサーサイズが大きいので、映画並みのたいへん美しい動画が撮影出来ます。高感度にも強く、作品作りや品質を追求する方には文句なしの選択技。なかには静止画より動画撮影に向いている機種もあります。反面技術的に難しく、フォーカスがシビアだったり、レンズ交換をする必要があるなど、機動性や緊急性を要する現場では使いにくいことも多いです。仕様や発熱、バッテリーの問題などで長時間撮影に制約があることもありますが、一番の問題は予算かもしれません。

シーン別最適カメラは?

それぞれスマホにはない特徴がいっぱいですが、全てを網羅したビデオカメラがないことも分かります。ではこれらの特徴を活かした撮影シーンを見てみましょう!

子どもの撮影はハンディカム!
例えば運動会や舞台、部活のスポーツの試合など、お子さんの撮影を目的としてビデオ購入を考える方も多いと思います。この場合はその機動性と速写性、ズーム性能からハンディカム一択と言えます。どんどん状況が変わっていくサッカーなどのスポーツでは、ミラーレス系のカメラではとてもじゃないけど追いきれません。三脚がビデオ専用のものだと撮影は数段楽になります(詳しくはこちらの記事参照)。4Kビデオカメラならトリミングも出来るので便利です。ただ、まだ赤ちゃんや幼い時などあまり動きが激しくない時は、一眼・ミラーレス系で撮影するとその高画質に感動します。

結婚式などのイベントは一眼・ミラーレス系が美しい!
人物をちょっと遠目から狙うのは、一眼・ミラーレス系のもっとも得意とするところ。キャンドルのアップなどイメージ的な動画もバッチリです。ただあまりに凝りすぎるとレンズ交換が頻繁になってしまって肝心の場面を取り逃がしたりする可能性も出てくるので、余力があれば標準ズーム、中望遠ズームの2台体制で挑めばそのリスクを回避できます。満遍なく撮影したい場合は機動力と操作性に優れたハンディカムの方が便利です。全体をGoProなどで定点カメラとして撮影しておくと編集の時に重宝します。

外付けマイクのススメ

では最後にとても重要なことをひとつ。動画には音声がある!
これ、当然のことなんですが、意外と忘れられがちだと思います。そして時には映像よりも音声の方が大切なことがあります。せっかくコメントを撮ったのに何を喋っているのか分からないこと、ありませんか? 動画を撮影する際は是非是非、マイクを別に用意して装着してください。心の底からの叫びです。

特に一眼ミラーレス系は内蔵マイクが脆弱なことがほとんどなので、外部マイクの装着はほぼ必須と言えます。ハンディカム系は比較的指向性の強いマイクが内蔵されていることが多く、そのままでも使用できることが多いです。でも風などの雑音が気になる、演奏会等で少しでもいい音質で記録したいと思う方は、是非外部マイクの装着を検討してみてください。明らかにクオリティが1段も2段も変わり、驚かれることでしょう。