「最近ハマってる居酒屋があってさ、飲みに行かない?」
と友人からの誘いだった。
西日暮里から不忍通りに向かって、手前の「夜店通り」を入る。途中小さな飲食店が軒を連ねる横丁「すずらん通り」に「にしくら」があった。待ち合わせの友人とバッタリ会う。
「お店真っ暗だな」
と彼女が中を覗く。
「電気点いてないよ」
「今日は予約でいっぱいだから、明かりは点ける必要ないのよ」
と女将さん。カウンターは7席ほど、奥の4人席に通される。
「瓶ビールください」
おっ、赤星だ!
「ね、正しいビールでしょう」
カンパイした。
お通しは、伊達巻、さつま揚げ、団子などの煮つけ、これ素晴らしい味わい。
「お勧め片っ端から頼んじゃうね」
店内はすでに満杯。50前後のご夫婦で切り盛りされている。すべて常連客で、ボクとほぼ同年代の方たちばかり、居心地のいい店だ。
刺し盛りは、マグロブツ、アジのたたき、ホッケの3点盛り。どれも新鮮で美味しいな。
オムサラダは薄い玉子焼きの中にレタスなどの野菜、これいいアイディアだ。
ゴボウのかき揚げは、サックサクでスキのない美味しさ。
レバーオイルはネットリと絡みつくレバーの濃厚な食感、酒が進む。
途中、彼女がキープしていた「赤霧島」を飲み干し、「田苑の芋」に切り替えた。
海老カツは海老がビッシリ、サクっと軽やかな食感で下手なエビフライより満足感がある。
カウンターの客と仲良くなり音楽の話で盛り上がる。1人は元NHKの技術屋、もう一人が現役のベーシストで、SHOGUNやウエストロードブルースバンドで長く演奏していたようだ。
この2人と妙に馬が合う。酒が進む。
「しめに五目焼きそば頼もうよ、フルサイズでいいかな」
と彼女。出てきた焼きそばの盛りにビックリ。
「ハーフにすりゃよかったね」
でもこの焼きそばも旨いね~。コロナの影響で8時に閉店。常連客とご夫婦に挨拶して帰路に就く。この「にしくら」はリーズナブルで居心地もよく、料理とも抜群の店だな。
〈店舗データ〉
【住所】東京都文京区千駄木3-44-1 電話03-3824-4020
【営業】月~金11時30分~14時 17時30分~23時 土17時30分~23時
【休日】日・祝
【アクセス】東京メトロ千代田線「千駄木駅」2番出口から徒歩5分 JR・東京メトロ各線・舎人ライナー「西日暮里駅」から徒歩8分 JR・私鉄・舎人ライナー「日暮里駅」から徒歩10分