町田市主催の『公共施設マネジメントシンポジウム』がありました。

町田市では公共施設の老朽化や厳しい財政状況を見通し、必要な公共サービスを将来にわたって維持していくために、公共施設の再編に向けた取り組みを進めています。

当日は『町田駅周辺の公共施設を考えよう!』とのタイトルで、以下の4項目に別れてのシンポジウムでした。

① 町田市政策経営部による公共施設の再編について取り組み紹介

② 公共空間と民間をつなぐマッチングサイトを運営する公民連携の専門家、
公共R不動産の菊地マリエ先生による基調講演
『公民連携をデザインする』

③ 大原簿記医療秘書公務員専門学校の学生さんによる研究発表
『町田駅周辺の公共施設再編案について』

④ 「町田市長」 石阪丈一さん、
「中心市街地活性化協議会 会長」 大塚信彰さん、
「公共R不動産」菊地マリエさん、
 3名によるパネルディスカッション
『中心市街地に求められる公共施設・公共空間のより良いかたち』 



①では町田市政策経営部から、背景として、公共施設の老朽化、莫大な維持更新費用、人口と財政の見通し、市民のアンケート調査結果などが説明され、より魅力的な公共施設・公共空間を行政だけでなく利用する皆で考えて作っていこうと提言されました。

②では、専門家である都市経営コンサルタントの菊地マリエ先生の基調講演で、

公共施設の再編というと、とかく施設の廃止・縮小が想像されることから暗い雰囲気になりがちですが、
女性ならではの温かみ溢れるお話しで会場を優しく包み込み、

自分達で新たな公共施設や公共空間を作っていくことができるチャンスと捉えられる雰囲気で、未来へ向けて明るくより良い環境を創造していくことの楽しさや喜びが十二分に伝わりました。



③の学生さんによる、町田駅周辺の公共施設再編案についての提言は、
今の町田市で想定されている課題を的確に捉えながらの提案で、大変素晴らしい発表でした。




④のパネルディスカッションでは、中心市街地活性化協議会 会長から、
そもそも「公共」の役割・すべきことは何なのか?を今一度考える必要があること。




公共施設再編について、財政が厳しいからとかではなく、市民主導の考え方を促進すべく、
今まで良く言われていた、
「市民参加のまちづくり」から
「行政参加のまちづくり」
へと主体や考え方を移していく必要について発言されていました。

また、過去に行われた中心市街地再開発について言及され、
時代が変化し当時の再開発手法では今後のまちづくりは考えられない、

民間事業者がビジネスモデルを組む意欲が掻き立てられるようなまちづくりの在り方を模索すべき、とのご指摘でした。

町田市長からは、公共施設再編の考え方は「建物」のみを対象としているが、
良く考えれば「道路」は公共施設の最たるものであり、その利用についても対象として捉えていかなくてはならない、とのお話しがありました。

パネルディスカッションの結果、中心市街地活性化協議会 会長と町田市長は、

中心市街地に道路も含めて、街の個性を表現したり、行政や企業がプロジェクトを行うための拠点となるような屋外空間の創出、

「まちの顔」となる広場(Plaza)=『都市にある公共の広場』を機能的に配置していくことが大切であるという点において意見の一致をみてました。

菊地マリエ先生からは、熱海市のまちづくりのアイデアをビジョンに引き上げた事例や、福山市のビジョンを元とした実証実験などの成功事例について触れられていました。

今回のシンポジウムでは、社会の変化を積極的に受け新たに希望を持って進歩的に公共施設を考えていく上で大変勉強になりましたし、

官民連携との言葉がありますが、行政は民間が、民間は行政が、それぞれどのような立場で、どのような意見を持っているのかを今一度腹を割って話し合い、お互いが主体的にまちづくりに参画することにより、どこにもない個性豊かな駅前が出来てくるのだろうと感じました。