素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
一週間ぶりに出勤したユリウス達は、入口付近に厳重な警備体制が敷かれている事に気づいた。
「何だかものものしいな。」
「あんな事が起きたんだから当たり前だろう。」
「そうだよな。」
入口のセキュリティ・ゲートを通り、研究室に入ったユリウス達は、眼前に広がる光景に愕然とした。
書類をまとめていたファイルフォルダー類は棚から乱雑に放り投げられ、仕事道具であるコンピューターの周辺には水が滴り落ちていた。
「この状況は、一体いつからなんですか?」
ユリウスがそう言ってアレックスに詰め寄ると、彼は研究室の惨状を目にして絶句した。
「貴方がたは、他人の職場を破壊する事が捜査だと思っていらっしゃるのですか?」
「大変申し訳なく思っています。コンピューターの修理代はこちらで負担させていただきます。」
「是非そうして下さい。」
アレックスが去った後、レティシアとユリウスは警備センターへと向かった。
「所長、何か御用ですか?」
「監視カメラの一週間分のデータを見せてくれないか?」
「了解しました。」
警備主任・レオンはそう言うと、監視カメラのデータをユリウスに手渡した。
「ありがとう。」
「今回の事件の犯人、早く捕まればいいですね。」
「そうだね。」
ユリウスとレティシアが警備センターから研究室へと戻ると、研究員達が研究室の掃除をしていた。
「所長、お帰りなさい。」
「みんな、こんなことになって済まないね。」
「何を言うんですか、所長!俺達、仲間じゃないですか!」
「そうですよ、こんな時こそ助け合わないと!」
(わたしは、とてもいい部下を持ったな・・)
「襲撃に失敗しただと?」
「申し訳ありません。」
「そうか、もうお前は用済みだ、下がれ。」
「そんな・・今度は上手くやりますから、どうかご慈悲を!」
「くどい!」
自分の前に跪いたオーガスタを、青年は突き飛ばした。
「お前には失望したよ。その汚いツラを二度と僕に見せるな!」
「はい・・」
「相変わらず手厳しいね。一体誰に似たんだか。」
項垂れながら自分に背を向けて歩き出したオーガスタと入れ違いに、一人の女が部屋に入ってきた。
「久しぶりに会ったと思ったら、そんな憎まれ口しか叩けないのですか?アンジェリーナ姉上。」
青年はそう言うと、アンジェリーナの手の甲に唇を落とした。
「それはこちらの台詞だよ、マックス。」
アンジェリーナは血を分けた弟に微笑むと、彼と抱擁を交わした。
「漸くこちらに帰ってきたご感想は?」
「最高だ。」
アンジェリーナがそう言った時、遠くから教会の鐘の音が聞こえた。
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