素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「陛下が、毒を盛られている?」
「はい。恐らく、アンジェリーナの息がかった者でしょう。」
エリウスの口からアンジェリーナの名が出た時、クリスティーネの胸がざわついた。
「これはまだ噂の域ですが・・あの女を陛下に宛がったのは、アンジェリーナではないかと。」
「アンジェリーナは、何故陛下にそのような事を・・」
「それはわかりません。」
「陛下のご様子はどうなのですか?昨夜の舞踏会でお見かけした時、顔色が悪かったようでしたから・・」
「陛下はお部屋でお待ちになっております。陛下はあなただけなら、本心をお話しになられる事でしょう。」
「それは・・」
「さぁ、こちらへ。」
フェリペは、少し蒼褪めた顔をしながら寝台に横たわっていた。
「陛下。」
「来てくれたのか。」
「いけません陛下、無理に起き上がっては・・」
苦しそうな顔をして起き上がろうとしたフェリペを、クリスティーネは慌てて止めた。
「わたしと二人きりで話したい事とは何ですの?」
「そなた、王妃の手紙を読んだか?」
「はい。でもあれは、手紙というよりは・・」
「日記の一部のようだったと?」
「ええ・・わたしはわからないのです。何故、王妃様がわたしにあのような物を託したのか・・:
「それは、王妃本人にしかわからぬ。だが、王妃は殺害される前、わたしにこれを託した。」
フェリペはそう言うと、寝台のサイドテーブルの引き出しの中からある物を取り出した。
「この箱の中身は何ですか?」
「開けてみよ。」
クリスティーネが箱の蓋を開けると、そこには光り輝くティアラが中に入っていた。
ブルーサファイアと真珠で美しく飾られたそれは、中央に王室の紋章が刻まれていた。
「このティアラは、王位継承の証のひとつだ。」
「王位継承の証、ですか?」
「さよう。我が王家には三つの王位継承の証がある。一つ目はこのティアラ、二つ目はアンジェリーナが持っている首飾り、そして三つ目はそなたが王妃から託された指輪だ。」
「陛下、今までの話を整理すると、わたしには王位継承権があると?」
「そうなるな。王妃がお主に指輪を託したのは、自分が殺される運命である事を悟っていたのかもしれぬ。」
フェリペはそう言った後、激しく咳込んだ。
「陛下、大丈夫ですか?」
「誰かがわたしに毒を盛っている事は知っている・・しかし、わたしはその者を罰しようとなどとは思わぬ。」
「何故です。」
「わたしは・・余は命を狙われても仕方のない事をしたのだ。」
「陛下、それは・・」
「少し話し疲れた。暫し眠る故、そなたはもうさがれ。」
「いいえ、陛下が起きられるまでわたしはここに居ります。」
「そうか・・」
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