刑法総論・共犯1

前回までのあらすじ:

令和15問の選択肢2で「けんか闘争」についての正当防衛が成立するか、考えました。

昔から、けんか両成敗といいます。けんかをしている2人は、相手に対して暴行の意思で、互いに行為を行なっています。正当防衛は成立しないように思えます。しかし、場合によっては、突然相手方が、隠し持っていたナイフで襲いかかってきたような場合は、どうでしょうか。もはやそれまでの双方の暴行行為の一連の流れを超えたものとして評価し、正当防衛もありうると考えました。

今回は、共犯の大枠を整理します。

では、はじまり、はじまり。

 

東花子さん

こんにちは

スク東先生:こんにちは、早速、共犯について一緒に考えていきましょう。

東:共犯か、難くて苦手だな。

スク東先生:そうですよね。ただ、共犯は、試験的にも重要です。苦手なら、なおさら、この機会にしっかり押さえましょう。

さて、東さん、まず、共犯をする前提をして、検討したい重要な問題があるのですが、何か分かりますか。

東:いやー、なんか唐突だなぁ。

スク東先生:そうですね。じゃあ、もう少し、共犯が成立するのに、前提でどういう人が必要ですか?

東:えっと、正犯ですかね。

スク東先生:その通り!いいですね。では、正犯と共犯の違いは何でしょう。

東:えっと、犯罪の実行行為を行ったか否だったと思います。

スク東先生:そうですね。ざっくり、それで大丈夫でしょう。では、犯罪の実行行為とは、何ですか?

東:確か、法益侵害の現実的な危険のある行為だったと思います。

スク東先生:なるほど、実行の着手(43条)と実行行為を合わせて考えるわけですね。概ね、それでも大丈夫なんですが、間接正犯だと「実行の着手」と「実行行為」をわけて考えます。ですので、この場合と統一して理解するために、因果の起点となる行為を実行行為すればよいでしょう。

東:わかりました。

スク東先生:では、なぜ、実行行為をしていない共犯が処罰されるのでしょう。

東:うーん、確か、正犯を通して法益侵害の結果を惹起している点にだったと思います。。

スク東先生:そうです。因果的共犯論ですね。この考えは、共犯(共同正犯、教唆犯、幇助)を理解する大事な前提なので、しっかり理解しておきましょう。よく、共犯が苦手って方がおられるのですが、結局、この前提がわかっていないでやっているから、なかなか伸び悩んでいるように思うのです。

東:なるほど、細かなことに行く前に、全体を抑えるわけですね。

スク東先生:そういうことです。この大枠の理解があって、間接正犯のような正犯と共犯をしっかり理論的に区別できるようになると思います。

考えている

ふーん、なんとなく、わかったような、わからんような・・・

スク東先生:そうですよね。今回は、抽象的な話になってしまったので、理解が難しかったと思います。でも、安心してください。これから、過去問を使って具体的に検討してきますよ。

東花子さん

なるほど、理論を使える形で押さえるために過去問を使っていくわけですね。

スク東先生:そうなんです。過去問は、合格するためにはとても大事なんですが、ただやっても効果がでません。過去問を通して、背景の理論をしっかり使えてことがポイントなわけです。

というわけで、過去問を使って、これから具体的に考えていきたいのですが、ちょうど、時間になりました。ですので、今日は、この当たりで終わりにしたいと思います。今回は抽象的な話に若干なってしまいしたが、共犯の理解の前提になりますので、改めて確認しておいてください。

それでは、この続きは、また次回。お楽しみに。

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