最近、設定の相次ぐレバレッジ型バランスファンド4種『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』、『ウルトラバランス 世界株式』、『米国3倍4資産リスク分散ファンド（年2回決算型）』、『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド（愛称：USA360）』を全世界株式および米国株式インデックスファンドと比較してみました。
運用効率の高さがうたわれるレバレッジ型バランスファンドの実力と注意点は？
レバレッジ型バランス4種、全世界株式、米国株式の特徴
『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』（日興AM）は世界の株式、REIT（不動産投資信託証券）、債券の3つの資産に純資産総額の3倍相当額の投資を行います。運用管理費用（年率）は税込0.484％程度です。信託期間は2028年9月21日までです。
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| 2019年6月22日付交付目論見書2ページより引用 |
『ウルトラバランス 世界株式』（アストマックス投信投資顧問）は世界の株式、債券、金（ゴールド）に純資産総額の約3倍（290％）相当額の投資を行います。
運用管理費用（年率）は税込0.743％程度です。信託期間は無期限です。
株式部分は価格変動リスクを抑えた「iShares Edge MSCIミニマムボラティリティグローバル・ETF」を投資対象にしています。
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| 基本投資割合 純資産総額合計290％ |
『米国3倍4資産リスク分散ファンド（年2回決算型）』（大和投資信託）は米国の株式、REIT（不動産投資信託証券）、債券ならびに金に分散投資します。
各投資対象の比率は、ポートフォリオ全体に占める各資産のリスク割合が均等となることを目標に決定します（比率は毎月見直し）。
先物取引等を活用して純資産総額の3倍相当額の投資を行います。
運用管理費用（年率）は税込1.1275％です。信託期間は2029年9月11日までです。
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| 米国3倍4資産リスク分散ファンド 交付目論見書2ページより |
『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』（楽天投信投資顧問）は株式と債券への投資比率を1：3として、実質的にファンドの純資産総額の360%（3.6倍）相当額を米国の株式と債券に分散投資します。
運用管理費用（年率）は税込0.4945％程度です。信託期間は無期限です。
株式部分は、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』と同じく、大型株から小型株まで幅広くカバーした「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」を投資対象にしています。
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| 基本投資割合 株1：債券3 純資産合計360％ |
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド（愛称：楽天・バンガード・ファンド（全世界株式））』（楽天投信投資顧問）は、日本を含む世界の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。
運用管理費用（年率）は税込0.222％程度です。信託期間は無期限です。
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| 2020年1月現在 |
『楽天・全米株式インデックス・ファンド（愛称：楽天・バンガード・ファンド（全米株式））』（楽天投信投資顧問）は、米国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。
運用管理費用（年率）は税込0.162％程度です。信託期間は無期限です。
レバレッジ型バランス4種、全世界株式、米国株式の運用実績
下のチャートは、『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』設定来1年4ヵ月半強の基準価額の推移（2018年10月4日～2020年2月21日）を全世界株式および米国株式インデックスファンドと比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
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| 基準価額の推移 2018年10月4日～2020年2月21日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
下のチャートは、そのほかのレバレッジ型バランスファンドも含めて過去3ヵ月間の基準価額の推移（2019年11月22日～2020年2月21日現在）を比べたものです。
起点の基準価額を1万円に統一しています。
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| 基準価額の推移 2019年11月22日～2020年2月21日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです（2020年2月21日現在）。
設定来騰落率は1年4ヵ月半強の数字です。
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| 2020年2月21日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』の設定来の騰落率が極めて好調なのは、米FRBの利下げや緩和継続期待などにより債券だけでなく株式やREITも値上がりした時期があったからですね。
運用成績は好調な反面、『ウルトラバランス 世界株式』（2019年8月23日設定）や『米国3倍4資産リスク分散ファンド（年2回決算型）』（2019年10月15日設定）の純資産総額はやや鈍いスタートになっています。
レバレッジ型バランス まとめ
レバレッジ型バランスファンドのこれまでの運用実績は大変堅調で魅力的です。ただ、登場してからまだ日が浅いので、販売資料の過去のシミュレーションは優秀でも、実際にどこまで通用するのか未知数な面もあるでしょうか。
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| 出典：日興AM「グローバル3倍3分法（1年決算型） 2019年12月付販売資料」（PDF）より引用 |
レバレッジをかけているだけに株式と債券が同時に暴落するような場面で、どこまで耐えられるのかは気になるところですよね。
金融危機の際には先進国株式と先進国債券など各資産の相関関係が高まり、分散効果が薄れることもあります。また近年、米国株式と米国債券も相関関係が高まっているようです。
・各資産間の相関の変遷（ピクテ投信投資顧問）※PDFを拡大しないと見づらいです
『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』に関する下の記事の6～7ページのコラム欄では、起きる可能性は低いものの、金利急騰による国債価格の急落をレバレッジをかけたバランスファンドの急所として指摘しています。
・ファンド拡大鏡 日興アセットの「3倍3分法」レバレッジに活用する先物投資、分散強化と収益拡大を両立（PDF）
債券もバブルが懸念されており、値動きの小さな債券を中心にレバレッジをかけているからといってリスクを軽視してしまうのは危うい感じもします。
・債券は「バブル」なのか？ 弾けたときに起こること（ITmedia）
・債券バブルが崩壊したら株式市場はどうなるか（Newsweek）
当面は低金利が続く可能性が高いと思われていますが、景気悪化による信用リスクの高まりには注意が必要かもしれませんね。
レバレッジ型バランスファンドの商品開発者や運用担当者のインタビューは下の記事をご覧ください。
・「レバレッジに対する印象を変えたい」日興アセット「3倍3分法ファンド」が人気の理由（ITmedia）
・3.6倍のレバレッジ！「楽天・米国レバレッジバランス・ファンド」登場（みんかぶ投信）
下記はレバレッジ型バランスファンドの説明資料（PDF）とファンドレター（PDF）です。
・ウルトラバランス 世界株式（アストマックス投信投資顧問）
・相場の荒波を乗り越える⽶国3倍4資産（大和投資信託）
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