古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

鬼ノ城(吉備国実地踏査ツアーNo.9)

2019年06月15日 | 実地踏査・古代史旅
 宮山墳墓群の踏査を終え、この日の最終目的地である鬼ノ城へ向かいました。しばらく走るとゆるい坂道に入り、そこから細い一本道を結構走って山に登って行きました。対向車に気を遣いながら走らないと少し危ない道です。百射山神社から20数分で到着、時刻は16時をまわっていたので、広い駐車場には車が2台停まっていただけで少しさびしい雰囲気でした。まずは駐車場近くのビジターセンターで基本情報の収集です。
 
 
 663年の白村江の戦いにおいて百済に大規模な援軍を派遣した大和政権は唐・新羅連合軍に大敗を喫しました。国内への侵攻を恐れた大和政権は矢継ぎ早に防衛作戦を展開します。まずは、対馬・壱岐・筑紫に防人と烽(とぶひ)を配置して監視体制と情報伝達網を構築、さらには大宰府防衛のために筑紫に水城を築造するとともに各地に山城を築城しました。金田城(対馬)、大野城(筑前)、基肄城(肥前)、鞠智城(肥後)、長門城(長門)、屋嶋城(讃岐)、高安城(大和)などです。そして難波から近江に遷都して都の防衛を固めました。鬼ノ城はこのときに築かれた山城のひとつと考えられ、発掘調査によって7世紀後半の築造ということが判明していますが、不思議なことにこの城だけが史書に記載がありません。ちなみに、温羅伝説では温羅が構えた城とされています。

 このときに築かれた城は鬼ノ城もふくめてすべて古代山城と呼ばれます。この古代山城には2種類あって、ひとつが朝鮮式山城でもうひとつが神籠石式山城。神籠石は山腹を取り囲むように築かれた石積みの遺構のことですが、一昨年に高良大社にいったときに見ました。この2種類の山城の違いはなんと、文献に見える山城が朝鮮式山城で、そうでないのが神籠石式山城だということです。近年の発掘調査によって違いがあまりないことがわかってきたので「古代山城」と総称される傾向にあるそうですが、そもそもその基準はどうやねん、ってことですね。
 
 ビジターセンターでは模型とパネルを用いて鬼ノ城を詳しく解説していました。


 鬼ノ城は吉備高原の南端に位置し、標高397メートルの鬼城山に築かれています。眼下にはこの日に訪ねてきた遺跡がある古代吉備の中心である総社平野と足守川中流域平野を望みます。快晴時には瀬戸内海から遠く四国の山並みまで見えるそうです。
   
 この日の曇り空では四国までは見えませんでした。

 角楼(防御施設)から見る復元された西門。

 西門にはこんな楯が掛けられています。
 右の楯は隼人の楯によく似ています。S字文様をギザギザにして、鋸歯文もギザギザをきつくしています。隼人と吉備の関係を示唆しているのでしょうか。

 西門は立派な構えをしていました。

 これは角楼に下にある版築工法で築かれた土塁です。
 
 鬼ノ城の城壁は山の7〜9合目の外周を鉢巻状に2.8kmに渡ってこのような強固な土塁や石塁を巡らせています。城壁の6ケ所の谷部では排水口である水門が確認されています。城門は東西南北の4ケ所にあり、西門と南門は12本の柱で支えられた楼門と考えられています。城内は30haに及ぶ広さで城庫とみられる礎石建物跡も6~7棟発見されています。

 少し離れた学習センターから望む西門。
 
 実はこの鬼ノ城は7世紀の遺跡なので、私たちの勉強の対象から外れるのですが、せっかく岡山まで来たのだから見ておこうということで行程に組み込みました。元気が残っていれば城壁に沿って少し歩いてみようと思っていたのですが、朝からあちこちの古墳や墳丘を歩き回って疲労がかなり蓄積されていたのと、新しい時代の遺跡ということもあり、この西門の見学だけで済ませてこの日の踏査を終了することとしました。
 
 鬼ノ城から宿泊地のJR岡山駅近くに向かう途中、でっかい鳥居のある最上稲荷が近くにあることがわかって車で向かったのですが、思った以上に遠くて時間も遅くなってきたのであきらめました。それでも、引き返す途中にあった備中高松城跡に寄りました。
 同じ水攻めにあった埼玉県行田市の忍城に3人で行ったこともあり、たいへん興味の湧く場所でした。
 
 さて、これで初日の踏査は完了です。この日の宿泊はJR岡山駅の東側にあるビジネスホテルで、迷うことなく到着しましたが問題は駐車場です。岡山で最もにぎやかな場所なので、たくさんある駐車場はどこも高い。できるだけ安いところを探そうと同じブロックを3周したあげく、結局安いところを見つけることができずにあきらめてホテルの前のパーキングに入れることにしました。試算すると一晩泊めて1,800円くらいだったでしょうか。東京と比べると格安ということですが、安いところを見つけることができずになんだか悔しい気分。
 とにかく車を停めて眼の前のホテルにチェックイン。手続きの際に、車を停めたパーキングはホテルと提携しているので一晩泊めても900円だと聞いて、3人で顔を見合わせて笑いが止まりませんでした。結果オーライ!

 そんなこんなで部屋に荷物を置いてすぐに晩ご飯。その後、なんと夜は3時まで遊んでしまいました。
 


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