マンションの様な共同住宅は、毎月区分所有者から積立金を集めている。しかし、その使い道を気にしている区分所有者は意外に少ない、というか、私の関係しているマンションでは殆どいない。

 

私が居住しているマンションでは、私は義理で長年理事をしているが、年に一度の総会でさえ、委任状ばかりで、理事長、副理事長、理事以外には1~2名しか出席者はいない。すべてお任せなのである。

 

私のマンションはゼネコン関係の管理会社に依頼しているので、工事はいつも管理会社の親会社に依頼していて、私は金額が妥当なのかどうか、疑心暗鬼でいる。私のマンションの理事長は気っ風がいいし、理事たちもお金にはおおらかで、理事会で値段の質問をするのは私くらい。それでも私ズケズケものが言えるタイプではないので、大抵見積もり通り決まってします。

 

ただ、理事長の役職は理事と比べると格段に大変なので、それを引き受けてくださっている理事長のことを思うと理事長がやりやすいようにやってもらったらいいと思い直す。それに、もし管理会社に頼まなければ、理事たちが施工会社と直接交渉しなければならないので、それも面倒だという気持ちもある。

 

ところで、私は賃貸用の小さなマンションを持っているのだが、そこの初代理事長はすごくケチと言われた人で、管理費と合わせて修繕積立金を1億円近くも貯めていて、業者に対しては勿論のこと、住民にすら厳しい人だった。

 

私が購入した時はバブルの終わりごろで、マンションに様々な問題が生じてきていて、臨時総会が良く開かれ、その頃は居住者たちがたくさん集まってきていた。私も参加していたが、バブルが崩壊してからはすっかり落ち着き、私は100%お任せでやってきた。

 

そして今、何回目かの大規模修繕工事が始まっているのだが、たまたま購入時に知り合って、今も住んでいるKさんと話す機会があり、驚くことを知った。初代理事長はもう亡くなられているのだが、その後は熱心に管理組合の仕事をしてくれる人がいなくなったようで、ある年の総会に出たら、理事すら出席していたのは彼だけだったという。

 

彼は今の管理会社も替えたかったそうだが、皆のやる気のなさにあきれて、それ以降一切管理組合にタッチすることを止めたとか。今の理事長は若い独身の人で、このマンションには住んでもいないし、義理で理事長を引き受けているだけだという。なのですべては管理会社の言うなりでだし、他の居住者も管理組合に関しては全く無関心なのだそうだ。

 

昔は、工事というと管理組合が3社から相見積もりをとり、大抵はその真ん中の値段の会社に発注していたものだが、今は管理会社の提案を受け入れ、管理会社と契約し、管理会社が下請けに発注しているらしい。

 

今回の工事は消火ポンプ仕切り弁交換の際、消火配管内の放水テストをしたところ漏水事故が発生したことから、新しい配管を別ルートで設置する工事840万円(税別)と大規模修繕工事4980万円(税別)である。この値段が高いか安いかは素人ではわからないし、私も了承の委任状を提出した。

 

今日また、臨時総会の通知が来た。理由は外壁の下地補修工事が予定より30万円安くなったこと、予備費を400万円取っていたので、この際、エントランスの追加工事と防火扉交換工事、それにエレベーターのフィルム貼替工事をしたらという管理会社の提案があったそう。

 

しかしそれには1120万円かかるので、差額約700万円が不足となる。そこで、さらなる有事の際の工事費用も考慮し、追加工事費として1000万円計上して実施したい、という内容だった。

 

700万円の不足に対し、1000万円計上ということは300万円の予備費ということだが、すでに予定した工事は始まっていて、差額も確定し、さらに追加工事の提案もしているのに、これ以上の予備費が必要なのだろうか?数字が大きすぎて、感覚がおかしくなる。

 

そうなると、今期末の積立金の残高は約2000万円になるらしい。こんなに減ってしまってもいいのだろうか?予備費は無事に返ってくるのだろうか?相見積もりを取っていないが、金額は妥当なのだろうか?エントランスはどんな風な出来上がりになるのか?

 

私は家のリフォームの仕事をしていたので、その受注時には、本当に細かく、出来上がりの図面や材料、色などを提示して、出来上がりと施主予想がなるべく近づくようにと行動していたものだが、今回の見積書だけでは何もわからない。全てお任せとなるのだ。そして、施主である管理組合員たちも皆無関心である。

 

仮に私が総会に出て意見を言ったとしても、委任状が殆ど全部なのだから、賛成票が多くて提案はすべて可決になる。

 

予備費込、税込の金額は7400万円の工事。決して小さな工事ではないが、所有者で住んでいる人は少なく、賃貸が殆どの場合、こういうふうになるんだろうな。私だってKさんから聞かなければ、何の疑念もなく委任状を出していた筈。まあ、修繕積立金が不足しないだけ良かったというべきか。あとは管理会社が良心的な会社であることを祈ろう。

 

ブログに書いたら、なんだかスッキリした。私は初代理事長の厳しい管理組合が頭にあったので、自分が住むマンションの管理組合が甘いなと思っていたのだが、今や我が管理組合の方が、理事たちはみんな居住している人たちで、月1回管理会社と弁護士を呼んで理事会を開き、まじめに管理に取り組んでいるのだと見直した。

 

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