今日こそ雛壇を飾ろう
そう決めても
どう組み立てるのか一年経つと忘れる。
けっこう重たくて
一人で組み立てるのはバランスを取るのが大変
崩れて唐紙を破いてしまったことも・・・
組み立てられたら、お道具箱を運び出し・・・・
パズルのようにはめ込んであった箱を取り出し、
そっと和紙を取り除き並べていく。
左大臣から取り出して ハハハ😊
初恋の人に似る雛と告げたれば
左大臣より片付けし娘(こ)は
娘と一緒に飾っていた頃は、仕事に追われていて
飾ることを楽しめなかった。
もったいないこと・・・・今は思う。
やっと飾れたときは
すっかり日が落ちていた。
時間に追われずに飾れて、何だか雛様に表情がつけられた。
心の中にずっと母のことや娘のことが浮かんでいた。
私は雛壇を持っていなかった。
戦後の貧しさの中、
伯父や叔母が送ってくれた雛様を寄せ集め
段飾りを整えてくれた家族。
その思いを、私は理解していなかったと、今頃になって、解ってきた。
私にはほんの少しの感謝の気持ちしかなかった。
自主的に飾ったのは、結婚の年のみだったかな。
母は笑顔でそんな私を見つめていた。
母の家を去る日が近づいていた・・・・
娘達は離れた街で
母が一人で雛壇を飾っているのを
どんなふうに思っているだろう。
「また、お母さんは、迷信を信じて早く片付けるのね-」って、
ちょっと迷惑かな・・・
でも、
今年の春も雛様達に光を当てずにはいられなかった・・・・
娘を授かって、いただいた雛様達に。
私は
やっと、今、痛いほどに・・・
母の心を理解出来たと思う。
恥ずかしいが、
やっと 親になってきたと思う。