WoodSound~日綴記

山のこと、川のこと、森のこと、その他自然に関することをはじめ、森の音が日々の思いを綴ってみたいと思います

ブラック・クランズマン

2019-04-15 | Movie
ちょっと前に「ブラック・クランズマン」を観た。
これがなかなか良かった。

スパイク・リーの作品はかなり昔に「マルコムX」を観て以来。
正直な感想を言うと、主張が前面に出すぎて、
ちょっとしんどいなぁという感覚が強かった。

それがだ。
この「ブラック・クランズマン」。
かなり面白いのだ。
軽妙洒脱という表現がぴったり。

テーマは黒人差別なので重いのは重いのだが、
こういう手法で来ますか…という意外性。

KKK(クー・クラックス・クラン)という白人至上主義の団体に、
潜入する捜査方法を考えるジョン・デビッド・ワシントン演じる黒人刑事。
この人、デンゼル・ワシントンの息子なんだ…

そして、実際に潜入する刑事を演じるアダム・ドライバーが良い。
「スター・ウォーズ」のカイロ・レンなんかの役より、
「パターソン」なんかのとぼけて役の方が絶対似合っている。

この二人のコンビがなかなか楽しく描かれている。

KKKと言えば思い出すのは「ミシシッピー・バーニング」。
ジーン・ハックマンとウイレム・デフォーが刑事を演じた映画だったが、
暗い厳しいイメージの作品だった。
KKKって怖い団体だなぁという思いが刷り込まれた。

転じてこの作品で描かれるKKK。
どこか拍子がずれていてコミカルである。




それでも、やることはやるのだという、
たがが外れた徹底した意思が感じられるけど。

それに潜入して捜査する刑事たち。

単なる刑事ものとしても観ても面白いのだが、
やっぱりスパイク・リー。それだけでは終わらせない。

各所に黒人差別への痛烈な批判が散りばめられている。

そして最後にエンドロールである映像が流れる。
右翼団体の白人至上主義のデモの中に一台の車が突っ込むシーン。
これはわりと最近実際に起こった映像。



トランプ政権になってかなり後退したダイバーシテイの概念。
これからの世界はこれで良いのかという痛烈な批判。
これこそが言いたかったことではないかと、
思えるほどその映像はインパクトがあった。

先日観た「グリーン・ブック」と「ブラック・クランズマン」。
この二本は黒人差別をテーマにした映画だが、
ほぼ真逆の視点から描いているといってもよい。

どちらが良かったかと聞かれれば本当に凄く困るのだが、
「グリーン・ブック」の色で表現すればグリーンだが、
「ブラック・クランズマン」はブラックなのだ。

なんだそれ?と言われそうだが両方観ていただければ、
私の言っていることがわかっていただけると思う。


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