WoodSound~日綴記

山のこと、川のこと、森のこと、その他自然に関することをはじめ、森の音が日々の思いを綴ってみたいと思います

「バイス」と「記者たち 衝撃と畏怖の真実」

2019-04-06 | Movie
先週「記者たち 衝撃と畏怖の真実」、そして昨日「バイス」という映画を観た。

「バイス」は至上最悪の副大統領と言われたディック・チェイニーの人生を描いたもの。
ニクソン、フォード、レーガン、父ブッシュなどの政権で、
主席補佐官や国防長官を努めた。
そして子ブッシュの時に副大統領に就任し、その在任中に9.11事件が起こる。
無能なブッシュの政権の中で、陰の中枢となって決断をしていく。
そして、アルカイダとの戦い、イラクが大量破壊兵器を保持していると断じて、
開戦に突入していく。
チェイニーを演じるクリスチャン・ベールは体重を20キロ増やしての怪演。
ロバート・デ・ニーロを始めとして役作りで体重を増減させる役者は多いが、
ベールほどの増減を成し遂げた役者はいないと思う。
正直、心臓に悪いのではないかと心配してしまう。
脇役が良い。
スティーブ・カレルがラムズフェルト。
サム・ロックウェルが子ブッシュ。
そしてエイミー・アダムスがチェイニーの強烈な妻を見事に演じている。


「記者たち 衝撃と畏怖の真実」はその後日談として、
イラクには本当は大量破壊兵器がないのではないかということを報道する記者の姿を描いた。
ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムスなどの、
大手新聞社がイラクが大量破壊兵器を所持しているという報道をしている中、
ナイト・リッダー社だけは疑問を持ち、懐疑的な報道をしていく。
「大統領の陰謀」や「ペンタゴン・ペーパーズ」に比べれば、
劇的な映画ではないが事実を淡々と描いているところに報道に似た好感が持てる。
作中でジェームズ・マースデン演じるウォーレン・ストローベル記者が「「大統領の陰謀」を見て新聞記者になったのに…」という台詞には笑った。




この二つの映画が同時期に公開された。
これには結構な意味があると思う。

チェイニーはまだ存命である。
そして、こんな映画に対して名誉毀損などの理由で、
訴訟を起こしても良いはずである。

もう田舎で隠遁生活をしているようだが、
今後そういう動きがあるのだろうか?

チェイニーはもともとワイオミングの出身で、
釣りや狩りを趣味している人間である。
恐らくこんな過激な挑発にも臆せずに、
もうあと少しの人生をゆったりと過ごしたいのであろう。

こういう映画を造れて、公開されるところが、米国と日本の圧倒的な違いだと思う。

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