王様は、岐伯に言いました。
「岐伯は、いろいろな見分けの話をしてくれたが、
それは全部、病の者が言う話を聞いて、
やっと医者は、見分けができるのだろう。
病の者に話を聞かないで、
医者が目で見るだけで、痛みを分かることは、出来ないのか?」
岐伯はこたえて言いました。
「それは、顔色を見れば分かります。(王様と東西南北23)
五臓六腑は、様子が現れる顔の場所が、
あらかじめ決まっています。(熱の未病5)
その所を見て、色が
黄または、赤ならば、五臓に熱の邪気があり、
白ならば、寒の邪気があり、
青または、黒ならば、五臓の痛みですので、
目で見て、病を見分けることは、出来ます。」
王様は、岐伯の話に、うなずいて言いました。
「なるほど。
では、話は聞かず、顔も見ずに、触るだけで分かることは出来るか?」
岐伯はこたえて言いました。
「はい、出来ます。
それは、脈を触るのです。
五臓の経脈の様子が現れる所をさわってみて、(王様と脈7)
堅ければ、血が滞っており、
凹んで力が無ければ、正しく流れていませんので、
手でさわって分かることも出来ます。
しかし、王様、
病の人を見る時には、顔色と脈を必ず見るというのは、
王様がおふれを出したほどに、大切なことです。(昔の治療法8)
聡明な王様が、忘れておられるはずはありません。
王様は、どうしてわざわざ、それをお聞きになっているのですか?」
そうです。
顔色と脈を見ることは、王様が知らないはずがありません。
いったい、どうしたのでしょうか。