鼻血が出た時には、それはそれはびっくりした王様でしたが、
血が止まれば、すっかりいつもの王様に戻り、
岐伯に言いました。
「岐伯はあんな時でも、脈をみるのだな。
脈というのは、そんなに何でも分かるものなのか?」
岐伯はこたえて言いました。
「はい、脈をみれば、
五臓六腑が正しく働いているか、
体に入り込んでいる邪がいないか、
体の中の川が正しく流れているかを、知ることが出来ます。
脈をみて、
急なのが、太陽膀胱経の脈なら、瘕、
急なのが、太陰脾経なら、疝、
急なのが、少陰腎経なら、癇厥、
急なのが、陽明胃経なら、驚です。」
王様は、言いました。
「うん?初めて聞いたぞ。
瘕とは、どんな病だ?」
岐伯はこたえて言いました。
「瘕は、寒の邪気が居座って血が滞り、
滞った上を血が流れようと重なってさらに滞り、
しこりが出来る病です。
腎の脈が小で急で、脈が打っているのが分からない、
肝の脈が小で急で、脈が打っているのが分からない、
心の脈が小で急で、脈が打っているのが分からないのは、
みんな瘕です。
少し難しいですが、
肝の脈が急で小で、打っているのが分かるのは、
ひきつけを起こして、筋肉が痙攣しています。
また、心の脈が満で大でも、
同じく、ひきつけと筋肉の痙攣を起こします。」