王様は言いました。
「では、子の十一月には、陽気は押し込め蔵されていると言っていたが、
その時人は、どんな病になるのだ?」
岐伯はこたえて言いました。
「十一月になると、すぐに蔵されるわけではありません。
このころ、陰気が下で盛んでいっぱいなので、
下がれない物がどんどん重なって盛り上がり、ついには上からあふれます。
食べる物が下りられないと、食べると吐きます。
陽気が下りられないと、逆走して陽明の絡脈を上がります。
陽明の絡脈は心に入るので、げっぷが出ます。
陰気は、強い力で陽気を押し込めますが、
陽気は、陰気の力が衰えた隙から出ようとするので、
争いは続いています。
うんちとおならは、人から出るものなので、
陽気は、うんちとおならが出る時に、一緒に出ます。
だから、うんちとおならをすると、
出たい物が出るのですっきりと気持ち良いのですが、
蔵した陽気が出て減るので、力が衰えてくたっとします。
そして、すべての陽気がみんな中にしまい込まれ、納められると
人は、腫れる病になります。
腫れるのは、体で子なのが太陰だからです。」
岐伯の話は、ぐるっと一年をまわったので、
王様は満足してうなずきました。
「王様、まだ病は癒えておりません。
もう一度、お休みになってください。」
王様は、岐伯の言う事を聞いて、布団に戻りました。
(王様とお正月 終)
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