岐伯は続けて言いました。

 

「鍼を刺す時には、

このことをしっかりと理解して、

正しい深さで止めなければいけません。」

 

王様は聞きました。

 

「もし、深すぎるとどうなるのだ?」

 

岐伯はこたえて言いました。

 

「もし、度を過ぎて深すぎれば、体の内を傷つけます。

内で五臓にショックを与えれば、後に大きな病を生じます。」

 

王様はこわくなって言いました。

 

「深く刺してしまったら、大変なことになるのだな、

ならば、浅く刺すようにすればいいのではないか?」

 

岐伯は首を振って言いました。

 

「いいえ、刺すのが浅すぎて、正しい深さに及ばなければ、

そこに、土の壁で囲ったような空間が生まれます。

その空間には邪気が入り込み、

壁で囲まれているので、邪気は出られず、居座ってしまいます。」

 

王様は、うーんとうなりました。

正しい位置よりも、深くてもいけない、浅くてもいけない、

どちらも大変な病になってしまうようです。