11月も終わろうとしていた時、
去年から気になっていた洋館が公開されると聞き、
先月の27日に伺ってきていた。

実際この時期は京都でもイルミネーションに彩られ、
クリスマスソングが巷を賑やかしているのだが、
このブログは実撮影は小休止とし、
アップできなかった紅葉と庭園など諸々を綴りたく候。

「和中庵 秋の特別公開」
ノートルダム女学院中学高等学校の和中庵が
11月23日(金)~12月2日(日)まで公開されていた。

実は25歳位の時、
この場所の麓のアパートに住んでいた事がある。
今で云うフリーター。
建築を諦めて、将来何をしていいのか分からず、
取り合えず時間のある時は好きな小説を読み漁っていた。
深夜一時まで夜の仕事で、帰宅はだいたい2時過ぎ。
そして朝は小鳥のさえずりに起こされると思っていたら、
決まってノートルダム女学院に登校する少女たちの話し声、
さえずりを通り越した騒めきで目を醒ましていた(笑)。




元々「和中庵」は
滋賀県近江五箇荘出身の藤井彦四郎が繊維製造で財なし、
豊富な資金で鹿ヶ谷の山裾を開拓して、
自ら現地に赴き、贅を尽くし粋を凝らして造営された、
広大な庭園を持つ邸宅であったらしい。 

1949年にノートルダム教育修道女会が取得。
修道院として改築、利用した後、
2008年にノートルダム女学院中学高等学校に移管された。

その頃の「和中庵」は老朽化が進み、
教育施設として活用するには多くの費用を要するため、
一時は解体が決定されていた。
しかし関係者の保存への思いが実り、
残念ながら主屋はとり壊すことになったが、
洋館、奥座敷(客殿)、蔵、お茶室については
何とか保存される事になったらしい。

 



スパニッシュを基調とした2階建の洋館に入ると、
玄関直ぐに2階への階段がある。






一階は解放されていないが、
案内人の女性が、
写真を撮られるならどうぞと促されたので、
ワンカットだけでも!
そして女性は「こちらの部屋は学長が面接の時に
利用する部屋で、大したことないんですよ!」
と謙遜気味に少し笑みを浮かべていた。



修道院として使われる際に改修された場所も多かったが、
洋館1階のこの部屋は彦四郎が使っていた頃の、
寄木細工の床や団炉跡等、面影を残している。














二階に上がる時にふと横手を見ると、
窓ガラスから紅葉が漏れていた。

















彦四郎はフランスにおいてレーヨンが発明された事を知ると、
フランス、ドイツから見本を取り寄せ、
「人造絹糸」と名付けて宣伝活動を行った。














大正期になると帝国人造絹絲(現・帝人)や旭絹織(現・旭化成)
等により「人造絹糸」の国産化が図られるが、
彦四郎は工場経営は行わず毛糸事業に重点を移し、
共同毛織、共同毛糸紡績(現・倉敷紡績)を興して、
「スキー毛糸」のブランドで成功をおさめ財を成した。








洋館2階のこのホールは、
以前エドヒガン桜の大木が鑑賞できる事から、
「桜ホール」と呼ばれている。

 


その樹齢約210年のエドヒガン桜の老木は、
残念な事に2014年に倒木の危険から伐採されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



この時は紅葉が至る窓から観る事ができたが、
かつては春先には野生種のエドヒガン桜が、
「桜ホール」の窓一面をピンク色に染めていたとは…

 




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洋館と奥座敷を繋いでいるのは渡り廊下…

















2階に配属されていた案内人の男性によると、
この廊下は彦四郎が東福寺通天橋を模したと言われていたが、
それはかなり無理があるような気がした(笑)。















元々この邸宅の名前は、
彦四郎の友、漢学者長尾雨山により「何事にも偏らず公平に」を
モットーとして「和中庵」と命名されたそうだ。
















豊かな緑に包まれた山裾の傾斜地を活かした
広大な庭園には小川が流れ、
余程居心地が良いのか、
昭和7年には賀陽宮恒憲王殿下が一泊し、
また久邇宮多嘉王殿下も訪れ、
その後、賀陽宮ご夫妻は度々宿泊をされていて、
この鹿ケ谷の「和中庵」がことのほか
気に入られていたと伝わる。

 

 

 

 

 

 






次回は同日訪れた、
お隣の「秋の特別公開」の霊鑑寺を紹介予定。

 

 


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