前回ノートルダム女学院の和中庵を訪れた時の流れですが、
細い道を隔てて隣接するのが今回の霊鑑寺。
この界隈は法然院、安楽寺、哲学の道、
比較的に撮影ポイントが多く点在するので、
ブログを始めてからは何度も訪れている。
しかし霊鑑寺に関しては、
この参道石段さえも足を踏み入れた事が無い。
と言うか、この参道には通常は衝立が立てられているので、
一般人は立ち入る事ができない、臨済宗南禅寺派の門跡尼寺。
1654年後水尾天皇が皇女を開基として創建され、
代々皇女が住職を務めて、谷御所、
鹿ケ谷比丘尼御所とも呼ばれているが、
今は「椿寺」として知られている。
春と秋だけは一般公開されていて、今回は「秋の特別公開」。
表門を潜り、大玄関を過ぎ、更に中門を潜ると、
書院と池泉式庭園が見えてくる。
残念な事にこの日はかなり天気が良く、
庭園を撮影するのには最悪のコンディションですが、
何卒ご了承の程、お願い申し上げます(笑)。
庭園は書院を中心として、
「南庭」、「東庭」、「本堂前庭」の3つある。
書院南面の前庭になる「南庭」は、
石組に特徴のある江戸時代中期の池泉観賞式庭園になる。
東山連峰の一つ、大文字山の西の稜線を借景として取り入れる等、
かつて池には東より山水が引かれていたが、現在は涸れている。
書院東に造られた「東庭」は、
本堂に向かう崖地にあり、土留の上下二段になる。
石組は多く、サツキの刈込で構成されている。
上段に位置している「本堂前庭」は、
自然風の植栽があり、一面を苔に覆われている。
南の山手に大きな自然な捨石があり、
その一帯には白い花が…
5、6人連れの女性観光客の一人がその様を見て
「苔がキレイ!山茶花?」
別に一人が「首から落ちているから椿と違う?」
また別の一人が「侘助みたい!」
何て他愛もない会話が続く…
樹齢350年を超えるタカオカエデとはこの木の事かな?
土蔵の周りがひと際キレイ!
下の飛び石に目をやると布袋さん!
普通の石かと思ったがどうやら硯石の様だ。
先程のご婦人方がこれを見て、
「この椿はお寺の方が置いたんと違う!」
何て他愛もない事を、また言っていた。
今年の京都は記録的な猛暑日と台風の影響で、
各地の紅葉の発色がイマイチだったと聞く。
終盤で僅かであるが、
このうえない紅葉に感謝を覚える一瞬であった。
その後、書院、居間に描かれている、
狩野永徳、元信、円山応挙の襖絵を見る事になるが、
その道中の山肌には30種以上の椿の名木が植栽されていた。
この時も何カ所で赤と白の椿が咲いていたが、
中でも後水尾天皇遺愛の樹齢300年以上の「日光椿」は、
春の特別公開期には観る事ができるらしい。
濃い朱紅の「唐子咲」の中心に同色の雌蕊が、
小さな花弁状になり円形にまとまる美しい様は、
まさに宝石の如く…。
次回霊鑑寺に訪れるのは多分春の一般公開期。
その時は「日光椿」をベストコンディションで撮る為に、
天候も体調も気合も最高の状態で臨むつもり。
あくまでもその時憶えていたらの話(笑)。