スポーツブランドのロゴとウェアを見ていくシリーズ3回目です。
今回はmizuno。
中盤っ~1


















ミズノロゴ02














現在、ウェアや用品は、このランバードロゴのみでmizunoブランドを示しています。
が、ここに至るまで複雑な経緯をたどっていることはよく知られています。

近年まで親しまれてきたのが、ランバード+mizuno のロゴ(ミズノランバード)でした。
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1997年に陸上・サッカー用品からこのスタイルの導入が始まり1999年までにほぼ全部のカテゴリに波及、以来、公式サイトなどでは現在でも使用されています。
文字ありと文字なしでは、好みが分かれるところですね。
2006~07年には、最後までMマーク(mizunoの頭文字。後述)がミズノランバードに変更され、全カテゴリがこのロゴで統一されました。
2013年に野球用品から始まった文字なしロゴ化は、2017年頃からウェアや用品全体に広がっていきました(2017年4月のニュースリリースを見ると、卓球日本代表ユニは文字ありロゴ使用です)。
バレーボール全日本女子のユニで比べてみると、小さい部分ですが印象が違うことがわかります。

2016年モデル
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2018~19年モデル
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2016年モデルV2JA624026(左)と2019年モデルV2JA874063
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文字ありロゴは、傾けずに配置されるのが普通でした。胸や背中に大きくプリントされると、少し硬派な印象をうけます。そこが魅力でもあるのです。
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文字なしロゴは、斜めにするなど配置の自由度が大きく、大胆なデザインができます(下の画像は2020年モデルのブレーカーシャツ[V2ME951114])。
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ワンポイントだとロゴがあまり目立たないので、露骨にスポーツ系の服装をするには…という場面でもポロシャツなど自然に着ることができますね。

現在に直接つながるロゴが登場したのは1980年。

h422133654.3Aそれ以前はシンプルなM字のロゴでした(左画像)。
私は1980年代前半にこのロゴが付いたジャージを見た記憶があるのですが、メキシコラインを多用し始めていたasicsと比べたら目立たない印象でした。


そこに、このロゴ(下画像)の登場でした。かなり新鮮な印象で、1990年頃のTVCMではこれが映し出されると、気になるスポーツブランドへと私の脳内では急激に変わっていきました。
一部分だけ色違いというのも新鮮で、このロゴは大好きでした。1980s_1981_photo











  


ミズノロゴ イニシャル実際には、トレーニングウェアなどはこれのイニシャル(M)部分だけを独立したロゴ(左画像)として使うことが多かったようです。学販ルートで出回っていたジャージで、1980年代後半にはこのロゴを使っていたモデルがありました。



mizunoはいくつかのブランドを展開していましたが、そのなかでも知名度が高かったのがSUPER STARでした。
展開が始まったのは1978年ですから、トレーニングウェアのブランド展開としてはかなり早い時期です。adidasやPUMAのジャージが「体操服」のイメージの払拭に成功したのが1970年代中頃でしたから、その影響が大きかったのでしょう。


初期のSUPER STARの特徴は3色グラデーションライン。多く製品化されていたのは、下の画像のような太い幅(約2cm)のものですが、1cm程度の幅のものもありました。1980年代前半がその全盛期だったようですが、この太いグラデーションラインがかっこよくて、私にとっては憧れのジャージでした。
文字ロゴのほうは至ってシンプルなデザインです。

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太いグラデーションラインのジャージで代表的なデザインは、下画像のようなものです。ジャケットはベースカラーが前身頃の胸から下と、後身頃全体・袖・襟で、前身頃は胸のグラデーションラインを境にしてそこから上のパネル部分がホワイトというものでした。パンツはジャケットのベースカラーとグラデーションラインというシンプルな構成。いわゆる足掛けつきで、裾ジップは外側(グラデーションラインの少し後ろ)についていました。

今でも時々にネットオークションに出てきますが、上下揃いとなると稀少です。
下の画像は2012年頃のものですが、ジャージ上下を着ているのはAKB48(当時)の前田敦子さん。「君は僕だ」のPVの一コマですが、いったいどこからこのジャージ上下を見つけてきたのやら。
実に謎…とはいえ、これは目福です。

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個人的には、このネイビー×ブルーが一番好きですが、少しパープルがかったカラーもあったようです。カラーバリエーションが多く、80年代前半の名作ジャージの一つです。
ウィンドブレーカーも上下で展開していました。こちらはジャージに輪をかけて入手難のようです。

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世間一般にSUPER STARの存在が一気に知れ渡ったのは、1988年に採用された大胆なデザインのロゴ(左下)の存在が大きいでしょう。
2000年にすっきりしたデザインのロゴに変更されました(右下)が、2009年にブランドの展開をいったん終わっていました。

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SUPER STARの1988年版ロゴの由来は何なのか、調べてみてもよくわからなかったのですが、このでデザインは一度見たら忘れられませんね。
この時期のウェアでいえば、1990年前後のU-1シリーズが、カラーバリエーションも豊富で最も普及したようです。
とはいえ、このジャージ着用の女子アスリートの画像はめったに出てきません(というより、見たことがないのですが…私の探し方が下手なだけ?)。
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同シリーズのウィンドブレーカーも発売されましたが、色が鮮やかなうえに表面のつやが綺麗で、重ね着も考慮したのか少しゆったりしたシルエットだったところも魅力的でした。
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このあと、切り替えがシンプルな平行線だけになったU-10シリーズや、ミリタリーテイストとされるU-11シリーズ(上右画像)が発売されましたが、U-1シリーズほどのヒット作にはならなかったようです。

SUPER STAR は種目別のウェア展開が強く意識されていたわけではありませんが、陸上競技のトレーニングシーンでの着用をイメージしていたジャージが下画像のものです。同デザインのウィンドブレーカーも発売されていました。

スーパースタージャケットの袖口がバインダータイプになっているのが先進的な印象のジャージです。パンツはスレンダータイプで、膝部分の切り替えが独特です。ここの部分はウィンドブレーカーパンツのベンチレーションが斜めに入るデザインになっていることにリンクしています。













mizunoでも競技別ウェアの性格が強かったRUN BIRDは、SUPER STARよりも早く、1990年代後半には展開が終了し、mizunoブランドに移行したようです。

ランバードマークは、鳥ではなく惑星軌道がモチーフなのだそうですが、どのようにデザイン化するとこうなるのかは、多少わかりにくい感じもします(かっこいいので気にしませんが…)。
ロゴは文字とランバードマークが平行におかれるものと、ランバードマークを囲むように for the Sports-minded Cosmopolitan のフレーズが配されるものがありました。

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1993~94AWシーズンのカタログに掲載されているサッカージャージとウィンドブレーカーです。


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1990~93年頃発売のモデルは、袖(胸部パネルも含むことがある)やパンツのサイド部分にホワイトの切り替えが配置されていました。これが90年代サッカージャージ最大の特徴と言えるでしょう。
個人的には、62SB/PS-380シリーズや53WS/53WP300シリーズなど93~94年モデルあたりが最盛期だと考えています。

90年代の画像はさすがに古すぎて、ちょうどよいものが拾えませんでした。

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このRUNBIRDロゴの変更は、シューズにも及んでいます(当然と言えば当然ですが…)。
下左…1993年モデルのモレリア2(12KP10601)
下右…2020年モデルのモレリア2JAPAN(P1GA200209)

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ロングセラーのモレリアですが、四半世紀の間にアッパーのデザインがずいぶん変化しているものですね。スタッドの基本的な配置があまり変化していないのと対照的です。

ウォームアップのシーンでずらりと並んだmizunoロゴ。壮観ですね。
こういう光景は大好きです。
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mizunoといえば、マスコミへのウェアやシューズの提供に積極的という印象があります。
古いところでは、「8時だョ! 全員集合」の体操コーナー(仲本工事さんが大活躍のあれです)でゲストが「★★★★」のラインテープのジャージを着ていたことがあったを記憶していますが、どうもこれがmizuno製品だったようです。ということはシューズもmizuno製だったのではないかと思うのですが、どうだったのでしょうか(調べてみると、ウェアは一貫しておらず、adidasが採用されたこともあれば、いわゆる芋ジャージだったこともあるようです)。

1993年放送のドラマの中でも、衝撃的な描写でとくに知名度が高かった「高校教師」もmizunoが衣装協力していました(ほかにも探せばいろいろ出てくるはずです…)。

余談ですが、当時女子高勤務だった私の友人は、しょっちゅう「高校教師みたいなできごとは本当にあるの?」ときかれていたそうです。私もきいた一人ですが(笑)、即座に「そんなことしたら、管理職にバレて即刻クビだよ!」と真顔で答えてきました。

その「高校教師」の部活シーンです。桜井幸子さん演じるヒロイン・繭はバスケ部に入っていますが、体育館シューズは言うに及ばず、部員が着ているウェアがものの見事に全部mizuno製品。これは広告効果がすごかったのではないでしょうか。
スポーツウェアに詳しくない人ならばそのままスルーしたと思われますが、私などは全員がSUPER STARやRun Birdを着ているのがすごく気になったものです。
高校教師03話-01























MCラインmizunoと言えばこれ、というイメージもかなり強くなってきたMCライン。

初登場は意外に古くて、1998年頃からのようです。
そのあたりの詳細は確認できていないところですが、ロゴがミズノランバードに切り替わり始めた時期とほぼ重なるので、ブランド展開の戦略と関係しているのだろうと思います。
尖っている部分は水晶のイメージで、これが袖やパンツのどの部分にくるかは決まっているのだそうです。それで統一感があるのですね。
ちょうど、adidasの3本線のリバイバルブームとも採用時期が重なります。ジャージなどのラインテープが注目される中での登場ということもあって、認知度が高まるのも早かったのではないでしょうか。MCラインの適度な自己主張感はいいですね。

袖とパンツの全長にわたってMCラインが配置されているピステとジャージ。
チームオーダー対応のウェアだと、MCラインがしっかり入るデザインが何種類も見られます。
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大胆なロゴのバックプリントとMCラインが、mizunoの正統派トレーニングウェアらしさを感じさせます。

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サッカーのユニフォームでは、ランバードマークがどうしても小さめになるため、MCラインの存在が欠かせません。線は細いけれど、わかりやすいんですよね。
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MCラインがホワイトだったりゴールドだったりとバリエーション豊か。
ここではパンツはMCラインなしが主力モデルになっていますが、ラインありもよく見るとデザイン違いだったりします。

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最後に、女子バレーボールのユニフォームから。
ノースリーブだと、脇のMCラインが見せ場です。全日本2015モデル
古賀 紗理那 2015









































今回は非常に長い記事になってしまいました。
次回はumbroとNIKE、hummelの予定です。もう少し短めにしたいと思います。