「 宗像教授異考録 」 は 期間限定ながら三巻まで
無料kindleで読めた。
この漫画は日本や世界の遺跡も多く登場する。
この漫画ばかりは四巻以降も読んでみたいと思った。
ふと思い出したことがある。
もう20年くらい前のこと。
設計事務所で同僚だった友人がかなり田舎に引っ越し、
そこの遺跡発掘の仕事に就いたと連絡があった。
久しぶりに会おうということになって、遊びにやってきた。
相変わらず元気で明るく、変わりのない友人とランチを
楽しんだ。
食後のコーヒーを飲みながら、お互いの近況報告をした
ときの話。
友人の仕事は発掘現場ではなく、発掘されたものを修復
したり、修復したものをトレースする仕事だった。
美大を出ていて、設計事務所では図面を引いていたので
友人にはうってつけの仕事だ。
修復できない欠片や、骨などは大きな部屋に集められ、
棚に置いたり、容器にそのまま入れられていた。
頭蓋骨なども棚におかれていたそうだ。
友人はまったく霊感などはなく、そちら方面はどちらかと
言えば鈍いたちだそうだが、その部屋に入って、修復した
ものを置いたり、整理したりして部屋を出るとき、時おり
声は聞こえないのに確かに呼ばれる感じがして振り返る
ことがあったそうだ。
彼女は見えないモノの存在を怖いとは思わず昔のかたの
思いに畏敬の念で黙って礼をして部屋を出るようになった
と言っていた。
遺跡関連の仕事は県の管轄になるので、今はどうか知ら
ないが正規雇用の職員ではないので、その当時は6か月
過ぎると一旦辞めて、一定期間ののちにまた仕事に就き
直すという働き方だったようだ。
友人はほかの仕事を得て、そこの仕事は6か月で辞めて
しまったが、「 遺跡発掘作業の現場の人は、けっこう難病
に罹る人が多いの。それなのに難病になって辞めた人でも
いつの間にか、また現場に戻って来るのよ 」
わたしたちは何気なく 「 戻っておいでって呼ばれるとか 」
と言い合っていたが、今にして思えば、それもありなんと
思ってしまうのだ。
友人が一度話しやすい上司に
「 遺跡から出た骨は供養とかしないんですか?せめて年に
一度お祓いをしてあげるとか 」
と言ったときに不思議そうな顔で 「 そんな予算無いしね 」
と言われたと言っていた。
発掘された骨も安らかな長い眠りから、突然掘り起こされ
棚に放置されたままで途方に暮れていたんじゃないだろうか。