現在、名古屋市美術館開館30周年を記念した所蔵作品の特別展示が行われているのですが、うっかりしていたら25日に閉幕です。今日、あわてて行ってきました。
<本企画のリーフレットと観賞券>
この美術館は開館直前の1989年、アメデオ・モディリアーニの「おさげ髪しょ少女」(リーフレットの絵)を3億6千万円で購入し、「それ税金だろう!」と批判の対象になったりもしました。日本がバブル景気に浮かれている時代でした。もっとも、今、この絵の価値は100億円に迫るとも言われていますが。
展示場の入口に大きく掲げられている絵も「おさげ髪の少女」です。
<展示会場入り口>(写真撮影可)
このモディリアーニだけでなく、名古屋市美術館には「エコール・ド・パリ」にカテゴライズされる作家の作品が多く収蔵されています。マルク・シャガールやモーリス・ユトリロ、キスリング、レオナール藤田、荻須高徳などです。
<荻須高徳「洗濯場(オーベルヴィリエ)>(リーフレット)
また、メキシコ市と姉妹都市である名古屋市の特徴として「メキシコ・ルネサンス」といわれるメキシコの近代美術が532点も収蔵されています。もちろん日本最多です。
ディゴ・リベラ、ホセ・ガダルーペ・ポサダ等に加え、メキシコ・ルネサンスの影響を強く受けた北川民次の作品も目を引きます。
<北川民次「トラルパム霊園のお祭り」>(リーフレット)
日本でリベラの妻、フリーダ・カーロの絵を見ることのできるのはこの美術館だけで、チケットの絵「死の仮面を被った少女」は彼女の作品です。
愛知、岐阜、三重といったこの地方にゆかりのある作家の作品も多く展示されていて、その中で太田三郎、水谷清、宮本三郎の描く「東山動物園猛獣画廊壁画」は私が初めて見た絵でした。
戦時下、東山動物園の動物たちが殺害される中、子どもたちに動物の生態を見てもらおうということで描かれた壁画で、芸術的価値について私はよくわかりませんが、恐らくは動物園を訪れた子どもたちが触ったり押したりしてつけた傷跡も印象的でした。
渋谷駅にドーンと構える岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」の下絵が名古屋市美術館に所蔵されていることはあまり知られていませんが、今回、それも展示されていました。
この下絵はメキシコにあったのですが、回り道をしながら2000年にこの美術館に寄贈されたそうです。
<岡本太郎「明日の神話」>(リーフレット)
全部で92点、まあまあの展示作品数で、それほど入場者も多くなく、ゆっくりと観ることができました。
もっとも、最終章の「現代の美術」では草間彌生、庄司達、ナムジュン・パイクなど、私の理解が届かない作品が多く、やや手抜きをしました。
とりえあえず、開催中に行けてよかった・・・というところです。
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