ギャンブル依存症では、周囲の方が本人へ、
「二度とやるなよ」
「次やったら、分かっているだろうな」
なんて言葉を日常的にかけてしまうことが少なくありません。
しかし、こうした対応は、本人の回復においてむしろ妨げになるのです。
なぜなら当の本人も「そんなことは百も承知」しているからです。
これは、ダイエットしかり英語の勉強しかり、自分でも「やった方が良い」と分かっている事柄に対し、
「なんで、やらないんだ」
と人から言われると、ますますやる気が失せてしまう構図と同じであり、
そうした声がけは、本人のギャンブルへの渇望を刺激するだけなのです。
そもそもギャンブル依存症が恐ろしい理由は、大量の借金による生活や人間関係の破綻です。
つまり、仮に「病気」が再燃してしまいギャンブルをしたとしても、
「たった一度だけ」なら大事には至らないのです。
(せいぜい数万円の損失です。)
しかし、日ごろから周囲の方が
「まさか、してないだろうな」
「あなたのせいで、うちの家計は」
などと話していると、
本人がうっかりギャンブルをしてしまった際、
「家族にバレたら大変なことになる」
「早く負けを取り戻さないと」
といった思いから、行動はどんどん加速し、
「クビが回らなくなったタイミングで家族に発覚する」
といったケースはパターンなのです。
これは私からのお願いですが、
依存症の患者さんをサポートする方は、患者さんに確認や念押しをするのではなく、
「この病気は再発が多いらしいので、もしやってしまったら怒らないので必ず教えてね」
「その時は私も主治医の所に付き合うからね」
と伝え、あとは見守るだけの役割りに徹して頂きたいのです。