日本の感染者数が大都市圏を中心に再び増加しています。

しかも今回は、政府・地方自治体とも静観の構え。非常事態宣言は勿論、再度の自粛要請の検討さえされていません。

記者会見では「(濃厚感染者を中心に)重点的に検査した結果として、感染者数が増加」と、これまで感染が疑われても十分な検査をしてこなかった事を、ついに政府自らが「自白」。

一般国民に、心許ないながらも状況判断の為の客観的データと判断を提供していた専門家会議も、経済再開を優先したい時の政権の意向を受けて唐突に廃止となりました。


新型コロナウィルスに対する世界各国の主な対応は「隔離と排除」。

ウィルス感染者は未発症者も含めて、検査により徹底して洗い出して隔離。感染者の出た住宅や施設は完全に閉鎖。新たな感染者が出る可能性を徹底的に排除する方向です。

一方で日本を含む少数の国が選択したのは「ウィルスとの共存」。

基本的なスタンスは、一定数の国民がウィルス感染することにより集団免疫を獲得し、感染の爆発的拡大を防止すること。

幾つかの国は、重症者と死亡者数の急増により「隔離と排除」政策への転換を余儀なくされましたが、日本は当初から一貫しています。
今日に至るまでロックダウンも行政命令も無!


その根拠となっているのが、日本における緩慢な感染拡大と重症者・死亡者数の少なさです。

現時点での当局者の認識は次のようでしょう。
・公衆衛生環境が良く、施設や交通機関等での接触感染等の危険が低い。
・国民の衛生観念の高く、個人レベルの感染予防が期待出来る。
・入院が必要なほど重症化する感染者が、当初予想より遥かに少ない。
・医療保険制度が機能し、感染者の自発的な早期受診と治療が期待出来る。
・医療水準は高く、死亡に至る重篤化を防ぐことが十分可能。
・医療資源は十分で、病床不足等は生じない。

この認識が正しいかは、感染者数や死亡者数の正確な統計データが入手可能となる半年から1年後に判明することでしょう。


但し、現時点でハッキリしている事があります。

『ウィルスとの共存を選んだ日本に棲む人々は、相当の期間は海外旅行が出来ない。』

多くの国が、今現在も僅かでもウィルス感染の可能性がある全ての人を、公権力を行使して強制的に隔離し検査しています。
国民にそれほどの負担を強いている国々が最も警戒しているのが、外国人によるウィルスの持込みです。

限られた検査によってさえ、感染源不明の感染者が発生し続けている日本。感染者の全てが発症するわけではないことを踏まえれば、ウィルス感染者は、日本中どこにでも無数にいる可能性を全く否定出来ません。現時点でも、希望者が容易に感染検査を受けられる体制は整えられていません。

そんな日本居住者を、検査と隔離なく受け入れる国などあるでしょうか?

現状では、ビジネス関連の駐在員など長期間滞在が前提であればともかく、昨今流行していた『週末弾丸トラベラー』が早期に復活することはほぼ絶望的です。

有効なワクチンが量産され、劇的効果がある治療薬が開発普及するのはいつのことか。

マレーシア在住の今、個人的には今年中の日本への一時帰国は絶望だと思っています。

日本の選択は正しいのか?
不安の種は尽きません。