働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

フリーランスをパワハラ防止指針に含めるかどうか!

2019年09月19日 | パワハラ防止
今年(2019年)4月24日、衆議院厚生労働委員会附帯(付帯)決議に「ハラスメント根絶に向け損害賠償請求の根拠となり得るハラスメント行為そのものを禁止する規定の法制化の必要性を含め検討すること」、また「フリーランス、就職活動中の学生に対するセクシャルハラスメント等の被害を防止するため、男女雇用機会均等法に基づく指針等で必要な対策を講ずること」などと明記されました(参議院厚生労働委員会附帯付帯決議においてもハラスメントに関する事項が記載されています)。

昨日(2019年9月18日)に開催された労働政策審議会(労政審)雇用環境・均等分科会における「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等 に関する指針の骨子(案)」をめぐる議論の中で、上記の衆議院厚生労働委員会附帯(付帯)決議について検討されました。

朝日新聞デジタルによると、労働者側委員が「派遣労働者のほか、フリーランスや就活生も指針の対象に含まれることを(パワハラ防止指針に)明記すべきだ」と訴えたのに対し、使用者側の委員は「別の法律による対応になるのではないか。慎重な対応が必要だ」と主張し、また別の使用者側委員も「現段階では自社の労働者のパワハラ防止を議論すべきだ」と述べ、フリーランスへのパワハラ防止を指針に明記することに否定的な考えを示したそうです。

個人的な感想としては、昨年(2018年)の労働政策審議会雇用環境・均等分科会での労使議論が再現されているだけのようで残念に思います。使用者側委員は国会の附帯(付帯)決議を尊重すべきです。机上の論議ばかりではなく、現場の声に耳を傾けるべきです。また「雇用類似の働き方」論点整理等検討会での発注者からのフリーランスへのハラスメントをめぐる議論も参考にすべきです。

職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等 に関する指針の骨子(案)

1 はじめに

2 職場におけるパワーハラスメントの内容
・職場におけるパワーハラスメントの定義(職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるもの)
・客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しないこと
・「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業 務を遂行する場所については、「職場」に含まれること
「労働者」の範囲(派遣労働者の取扱い)
・「優越的な関係を背景とした」言動の考え方
・「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動の考え方
・「就業環境を害すること」の考え方(「平均的な労働者の感じ方」を基準とすべきであることなど)
・職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型、典型的に職場におけるパワーハラスメントに該当し、又は該当しないと考えられる例

3 事業主等の責務
・事業主の責務、労働者の責務

4 事業主が雇用管理上講ずべき措置の内容
⑴事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
⑵相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⑶職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(迅速・正確な事実確認、被害者への配慮措置、加害者への措置、再発防止)
⑷⑴から⑶までの措置と併せて講ずべき措置(相談者・行為者等のプライバ シー保護、相談等を理由とした不利益取扱いの禁止)

5 事業主が職場におけるパワーハラスメントの原因や背景となる要因を解消するために行うことが望ましい取組の内容(コミュニケーションの円滑化、 職場環境の改善等)

6 事業主が自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい取組の内容

7 事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容(相談対応等)


最新の画像もっと見る