誰も教えてくれない薬剤師のおすすめ転職先

一人薬剤師への転職を考える前に考える4つのこと

 

一人薬剤師は給料が高く設定され、おまけに他の薬剤師の干渉も受けることはありません。

そのため一人薬剤師の働き方に満足している人も多いですが、一人薬剤師に対して「一人で大変そう」「給料は良いけど休みも取れない」と言ったネガティブ意見も存在します。

 

しかしそれらのネガティブな意見は職場によると言えばそれまで。たとえ一人薬剤師だとしても事前にしっかりどのような職場なのかを調べる事によって天国にも地獄にもなりえます。

 

そこで今回は一人薬剤師に転職を考える前に抑えておくべき4つの事を紹介していきたいと思います。

一人薬剤師の職場への転職を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

 

一人薬剤師の職場に転職する前に考えること

ヘルプがいるのは最低条件。問題はどれだけ入るのか

一人薬剤師は当たり前ですが基本的に1人です。ただ複数の薬局を持っているグループ薬局やドラッグストアではヘルプとして他の店舗から薬剤師が助っ人に来てくれます。

そして一人薬剤師を行う上でヘルプがいるのは最低条件です。ヘルプなしの場合はあなた以外に薬剤師はいませんから這ってでも出勤しなければなりません。また旅行をするにしても、急な出勤が必要になる可能性を考えると安易に旅行に行くのも難しくなってきます。

なにより大変なのが冠婚葬祭の時です。余程の身内でなければ冠婚葬祭でも仕事を休むことはできません。また親族が入院した時もすぐ駆けつける事ができない場合もあるでしょう。ですから一人薬剤師にヘルプがいるのは絶対に必須な条件となります。

ただ中にはヘルプ体制が整っています!と言ってはいるものの、本当にどうしようもない場合にのみしかヘルプに入ってくれない職場もあるため事前にしっかり確認する必要があります。具体的には以下の事を面接時に確認しましょう。

・ヘルプが入れる程豊富に薬剤師がいるのか

・有休の実績はどのくらいか

・一人で手が回らない時はピンポイントでヘルプが入ってくれるのか

ヘルプに来てくれる薬剤師がいたとしても他店舗もカツカツの場合であればお話になりません。

また「有休が使える使えない」は会社の休みに対するスタンスの現われになりますのでこちらもしっかり確認しましょう。そしてどうしてもあなたが1人で仕事を回せないと思った時に、ピンポイントでヘルプに入ってくれるかの確認も忘れてはいけません。

 

残業代や出勤日数を加味して果たして「お得か」を考える

一人薬剤師の一番のメリットとして給料が高いという点が挙げられます。

高給につられて多少の激務は目を瞑ると考える薬剤師の方も多いのではないでしょうか。

 

しかし実際は確かに見た目は高給だとしても労働時間を考えると実は大したことないケースもあるので注意が必要です。

 

例えば残業が週に3日、1日2時間あったとします。月にすると24時間の残業です。もし時給が3000円ならば月に7.2万円の残業代となります。これを年間にすると86.4万円です。

そして一人薬剤師の場合はお昼の休憩時間も満足に取れない職場も多く、もしトラブルがあった場合の処理も全部ひとりで行う事になるため、それらの時間もひっくるめるとざっと見積もっても年間100万円分は支払われる事のないお金が発生している可能性があります

また忘れてはいけないのが「薬歴を書く時間」です。昼休みも十分に取れない様な職場であるならば例え最後の患者が定刻通りに来たとしても、それからたまった薬歴を記載する必要があります。必然的に昼休みの時間も薬歴の記載に充てられることになるでしょう。

一人薬剤師の職場は基本的に残業代が含まれていたり、残業代が出ても上限が決まっているケースが大半になりますので、もし純粋にお金だけを考えるのであれば本当に一人薬剤師として働くことは金銭的にもメリットが高いのかを発生しない労働時間と比較する必要があります。

 

処方箋枚数ではなく1週間を通した処方内容を見る

薬剤師の求人サイトを見ると「処方箋枚数30枚以下」と言った募集要項の求人もありますが、見るべきものは処方箋枚数ではなく処方箋1枚あたりの処方内容です。

たとえ処方箋枚数が30枚でも一包化が多く色んな診療科の薬を扱っている場合や吸入器や注射などの手技の説明に時間を要する職場の場合には超激務になります。かたや同じ30枚でも薬剤数が2~3種類が当たり前だったり外用剤がメインの職場の場合にはそこまでハード感じる事もないでしょう。

 

そしてこの場合に注意すべきことは1週間を全て見て判断する必要があると言う事。つまりは1日分の処方内容を見て激務か否かを判断してはいけないという事です。

 

と言うのも例えば月曜日は軽い内容の処方箋ばっかりだとしても、火曜日は大学病院から医師が来るためにハードな処方内容や処方箋枚数になっている場合もあります。

1日あたりの処方箋枚数はあくまでも「平均」になりますので、日によっては波がある事を知って、その波がどのくらいなのかも含めて事前に知る必要があります。そしてそこにヘルプが来てくれるのか否かも大切になってきます。

 

自分が一人薬剤師に向いているか客観的に考える

一人薬剤師として働くのであれば楽な職場で働くに越したことはありません。

しかしいくら楽な職場だとしても不測の事態は必ずやってきます。例えば「分包機が急に壊れてしまった」「患者が急に嘔吐してしまった」「急に腹痛になったがトイレに行く時間がない」など。

これらはほんの一部に過ぎず色んなケースが山ほど存在すると思いますが、2人ならば即解決できる問題が1人であるために難易度が跳ね上がるのが一人薬剤師の特徴です。

私も一人薬剤師の時にあるトラブルが発生してしまい、焦って調剤と服薬指導を行っていると待合室で待っている患者の数が1人、2人、3人と増えていく様が目に入ってしまい、それがさらに焦りを加速させると言ったケースがたびたび起きていました。

ずっと待っていた患者は薬の説明を聞く前に「いくら?」と聞いてくることもよくありました。

 

実際に「薬剤師がもう1人いたら」と思うケースは非常に多いと思います。しかしいくら嘆いていても仕方ありませんしそのような場面は絶対に出てきます。

その様な時にこそ冷静になって焦ることなく正しい答えを導ける様な思考ができる必要があります。そしてそのためにはある程度自分の頭で発生しうるトラブルを想像しておくことも大切です。

 

ですから一人薬剤師に必要なスキルとしては

・問題を解決するための思考ができる

・起こり得る問題を想像できる

この2つが必要になってくるでしょう。

 

逆にこれらの事が大の苦手な人はあまり一人薬剤師には向いていないと思いますので、これまでの自分を振り返って客観的に一人薬剤師が向いているかどうかを考えてみてください。お金だけに飛びつくと後悔することになるかもしれません。

それでも一人薬剤師が不安な人へ

冒頭でも言いましたが一人薬剤師におけるネガティブイメージは本当の部分もありますがはっきり言って職場によるところが大きいです。

つまりどの職場で一人薬剤師を行うのかによって考えうる色んなリスクを最小限にすることができます。逆を言えば単純に給料だけを見て一人薬剤師の職場に転職するのは相当危険です。ですから上記で紹介した条件を転職前にしっかり確認してください。

 

そして一人薬剤師の職場への転職を考える際に絶対にやるべき事が職場見学です

それも1週間の中で一番忙しい日の忙しい時間に見学させてもらってください。

一般的に見学や面接となると「じっくり話ができる比較的余裕のある時間」がセオリーになってきますが一人薬剤師として働くのであればそれらは無視して最も忙しい時を内側からのぞかせてもらいましょう。場合によっては1日いるのも良いと思います。

一人薬剤師を募集している所は是が非でも薬剤師に働いて欲しいと考えています。そのためには悪い面は見せたくありません。

そして一人薬剤師にとって悪い面と言えば「忙しい瞬間」です。

もし私が経営者ならば極力暇な時間だけを見てもらい、想像している以上にハードではないと思ってもらう事に全力を注ぎます。もし第一印象で激務だと言う事がバレたら辞退される可能性もあります。

ですからもし一人薬剤師の職場へ転職を考えるならば自分の身を守るため、そして企業側にのまれないためにも見学は絶対必須。そしてその上で紹介した4つの事を自分の目で確認するようにしてください。

 

手順としては薬剤師転職サイトを利用して一人薬剤師の求人を2つ以上紹介してもらいましょう。そしてその紹介された職場に行って見学&面接を行い、その上で納得のいく求人ならば就職をしていく方法がいいでしょう。

ポイントは1社だけの見学&面接ではなく2社以上行う事をおすすめします。

理由としては1社だけの見学だと個人的な体感としてその1社に決めてしまう人が多いからです。そうなると他の職場を客観的に比較する事ができずに勿体ない思いをする事も起きてしまいます。

利用する薬剤師転職サイトは1社でも十分です。例えば薬キャリはかなりの数の求人を持っているため生活圏内の一人薬剤師を複数紹介してくれますので、その中から自分が興味ある企業を2社以上見学させてもらいましょう。