ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート Vol.22 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート Vol.22

 

【日時】

2019年8月25日(日) 開演 15:00 (開場 14:30)

 

【会場】

京都府立府民ホール アルティ

 

【演奏・プログラム】

・八木 瑛子 (フルート)

山田 唯雄 (クラシックギター)

A.ディアベッリ:ポプリ(ベートーヴェンによる)

 

・篠原 悠那 (ヴァイオリン)

E.ショーソン:詩曲 Op.25

 ピアノ 樋口 一朗

 

・丸山 凪乃 (ピアノ)

F.ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53

F.リスト:パガニーニ大練習曲 より 第3番 嬰ト短調 「ラ・カンパネラ」

 

・八木 瑛子 (フルート)

山田 唯雄 (クラシックギター)

M.ジュリアーニ:協奏的大二重奏曲 Op.85

 

・野上 真梨子 (ピアノ)

F.ショパン:ノクターン 第8番 変ニ長調 Op.27-2

 

・樋口 一朗 (ピアノ)

F.ショパン:マズルカ 第36番 イ短調 Op.59-1

F.ショパン:マズルカ 第38番 嬰ヘ短調 Op.59-3

 

・又吉 秀樹 (テノール)

F.シューベルト:魔王 Op.1、D328

F.P.トスティ:夕べに(A sera)

G.プッチーニ:歌劇「トスカ」 より “星は光りぬ”

 ピアノ 内藤 典子

 

・佐藤 采香 (ユーフォニアム)

F.プロト:ニコロの奇想曲

 ピアノ 塚本 芙美香

 

・野上 真梨子 (ピアノ)

樋口 一朗 (ピアノ)

J.ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b (2台4手)

 

 

 

 

 

ロームミュージックファンデーション スカラシップコンサートを聴きに行った。

京都で毎年行われている、ロームの奨学生によるコンサートシリーズである。

今日は、今年の第3回。

第1、2回は8月3、4日に開催されたのだが、聴きに行けなかった。

また、用事があって今日も前半しか聴けなかった。

 

 

フルートの八木瑛子(Eiko Yagi)とクラシックギターの山田唯雄(Io Yamada)による、ディアベリのポプリ(ベートーヴェンによる)とジュリアーニの協奏的大二重奏曲。

おそらく初めて聴く曲である。

フルートは、特に弱音が柔らかできれいだった。

強音部分でも、余裕のある滑らかな音が聴かれるとなおよかったが。

ギターは、私には良し悪しの判断が難しいが、悪くなかったように思う。

 

 

ヴァイオリンの篠原悠那(Yuna Shinohara)による、ショーソンの詩曲。

出だしはおそるおそるといった感じで、音程的にも不安定だったけれど、その後は良くなった。

特に中音域の音がきれいに出ていたように思う。

低音域ももう少し神秘的、幻想的な音色がするとなおよかったが。

樋口一朗(Ichiro Higuchi)のピアノは、彼らしい明るい音色で、それでいて能天気でない詩的な雰囲気もあり、なかなか良かった。

 

 

ピアノの丸山凪乃(Nagino Maruyama)による、ショパンの英雄ポロネーズとリストのラ・カンパネラ。

今日私が聴いた中では、最も秀でた演奏だった。

ホール中に響く大きな音は持たないが、よく引き締まった充実した力感を持つ。

一瞬で人を虜にする魔力的な音色は持たないが、よくコントロールされた美しい歌を持つ。

英雄ポロネーズ、力任せに弾かれがちなこの曲が、彼女の手にかかると一変して芸術的な香気を漂わす。

連続する分厚い和音のさなかでも、歌が忘れられていない。

中間部の左手オクターヴの連続スタッカートも粒がそろっているし、再現部へと流れ込む前の箇所では低音や内声がしっかり利いている。

ラ・カンパネラも、跳躍音型といい同音連打といい、両手のトリルから右手だけのトリルへの滑らかな移行といい、いずれも鮮やか。

彼女のやや硬質な音色も、この曲に合っている。

そして彼女のルバート(テンポの揺らし)は、あざとくなる一歩手前の絶妙なバランスで、この曲のロマン性を醸し出す。

見事な演奏だった。

 

 

ピアノの野上真梨子(Mariko Nogami)による、ショパンのノクターン第8番。

柔らかく美しい音で、ノクターンにぴったり。

ただ、例えば中川真耶加あたりの同曲演奏と比べてしまうと、歌い口が完全に堂に入っているとまではいえないか。

また、再現部冒頭やコーダ直前に出てくる強音部が、少し力んでしまっている。

とはいえ、概して文句のない出来だったと思う。

再現部に出てくる急速な装飾音型など、繊細かつ流麗、テンポの運びも自然体で、大変美しい(ここが当演奏の白眉と言っていいかも)。

 

 

私が聴けたのは、ここまで。

短時間だったが、丸山凪乃の演奏が聴けただけでも行った甲斐はあった。

 

 

 

(画像はこちらのページからお借りしました)

 

 


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