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日本でただ一人の、全盲の琵琶法師。 盛者必衰の滅びゆく平家琵琶なのか!?

2020-10-01 14:11:41 | 伝統芸能

NHKEテレで10月2日(金)  23時00分~23時55分  の放送される、にっぽんの芸能「現代に響く!古典の名作“平家物語~那須与一”」の番組告知をみて心が少し高鳴っている。

サブタイトルが、平家琵琶の伴奏で語る今井検校勉の実演は圧巻!「平家琵琶」の伝統がなぜ名古屋に残るのか?その謎にも迫る、というもの

平家物語を琵琶の伴奏によって語る「平家琵琶」は、あらゆる日本の伝統芸能のルーツともいえるだろう。明治以降、その伝統的な継承はほぼ途絶えてしまった。そんななか、名古屋では代々の尾張徳川藩主が芸事を重んじてきたため、その名残で今もその伝統は受け継がれている。

その平家琵琶は800年の歴史を刻む伝統芸能であるが、現在、本格伝承者としては愛知県江南市の今井検校勉さん。盲人伝承とされてきた名古屋の語り芸能「平家(平曲)」の演奏者で、名古屋だけに残された、師から伝えられた奥義である衣鉢をただ一人受け継ぐ琵琶法師である。鎌倉時代にまでさかのぼる、世界的にもまれな仏教文化遺産である。

この今井検校勉さんについては、以前、実際にご自宅まで押しかけ取材し、記事を書いたことがあるので強く印象に残っている。

その時に言われたことがいまも深く刻まれている。「音楽的に優れている盲人男子の弟子にのみ伝授するという伝統の掟があるため、晴眼者の入門を退けてきた。だから弟子がいない」と。そしてさらに「この伝統を変えることはない」 という言葉が胸に刺さったことを記憶している。                                 まさに、盛者必衰の滅びゆく平家琵琶なのか!とつぶやいたことを、そのまま記事の見出しに使った。この記事の見出しも、あえてそうさせていただく。

後日、京都の佛教大学アジア宗教文化情報研究所のシアター公演のときに、同大学名誉教授の関山和夫先生に話を聞いた。そのときの解説では、盲人の琵琶法師の語りは芸術でも音楽でもない、仏教である。と言う論説だった。荘厳で崇高なものである。音楽で捉えてほしくない、と言い切られた。                           今井検校勉さんでおそらく絶えてしまう文化遺産。盲人の語りは口伝承しかない。限られた人が苦しい修練を重ねてきたものである。さらに、音楽や芸術ではないと言うなら、悲しいかな伝承していく門戸は針に糸を通すようなもの。盲目の琵琶法師を文化遺産として、次世代に伝承するすべはないのだろうか。

※今井検校勉師の名前にある「検校」という意味は、中世・近世日本の盲官の最高位の名称。室町時代以降にその名称が定着した。

※写真は、今井検校勉師のネット画像より転載

NHK にっぽんの芸能

https://www.nhk.jp/p/nippongeinou/ts/5K1GW1XVN4/episode/te/JZ19KJW7WY/


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