【2020年10~11月】石川県加賀市 獅子舞取材18~19日目 別所町 七日市町 横北町

石川県加賀市の今回の獅子舞取材もいよいよ最終日となった。大土でのワークショップ参加や、高橋家での飲み会、山川さんの農業の取材など本当に濃すぎて書ききれないことばかりのラスト2日間をまとめて更新する。今回は獅子舞のことだけで恐縮だが、3地域の獅子舞取材の記録を以下に記す。

 

2020年11月7日

①別所町 

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別所地区会館で青年団の方にお話を伺い、獅子舞の小道具を撮影。送迎と取材の様子の撮影は山口美幸さん。別所町の獅子舞は例年9月中旬の3連休の時に2日間行われ、460世帯を回る。これは、漆器関係等の事業所も含む。当日は奉納舞から開始して、各事業所・世帯を回っていく。舞の種類は棒振りありで1種類。青年団に所属するのは概ね高校生から29歳までだったが、6年前から中学生も参加するようになった。中学生(男子)でも獅子を舞う。合計、40人ほどの団員がいる。練習は概ね8月から始まり、お盆明けから本格的に開始する。子供達は基本的に学校行事が優先で、部活動が終わってから練習に参加してくれる。獅子頭は2体あり、白山市鶴来の知田清雲さんが製作されたものだ。薙刀は人間の平均的な身長よりも長い。

 

2020年11月8日

②七日市町

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白山神社宮司の野尻さんのご紹介で、収穫感謝の神事を見にいく予定だった。しかし急遽、獅子頭も撮影させていただけることになり、その場に居合わせた方々にお話を伺った。この地域の獅子舞は弓波町から伝わった。4~5年前まで祭りで獅子舞を舞っていたが、今は奉納の舞のみとなっている。棒振りや笛はなく、太鼓と獅子だけで大人しく舞う。舞の種類は2つで一曲目、二曲目と呼ぶ。獅子頭は雌獅子で、現在2体目である。昔の獅子頭はどこかに持って行ってしまった人がいたそうだ。カヤの中には3人入る。男の子は中学生から獅子舞に参加する。9歳の女の子によれば、獅子が向かってくるのが怖かったという記憶が残っているそう。昔、家に獅子舞が来た時は最後に玄関にダダッと飛び込んでくる動きがあったらしい。

 

③横北町

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区長の宮永和徳さんにお話を伺った。取材の様子の撮影は山口美幸さん。獅子舞は松山町から伝わったとのこと。中学卒業とともに、青年団に入る。所属期間は25歳までだったが、現在は30歳くらいまでに延長された。ここ何年かは人手不足で、踊りや回る軒数を減らしていたが、今年青年団で稼動できる人が1人になってしまった。去年までは5~6人いた。今、これから保存会を立ち上げるか、どうにか残せないかの話し合いをしている時である。舞の種類は全部で6種類の舞がある。青年団に入るとこれを徐々に覚えていく。最低でも獅子に3人、棒振り1人、笛が2人、太鼓に1人は必要。最近は笛が少ない時はカセットテープを使うこともある。ご祝儀の額によって舞の長短や本数を変えることは基本的に無い、ただ、区長さんのところは多めに舞う。3つくらいを披露する。獅子頭は昭和58年に白山市鶴来の知田工房で作られた。カヤはとても華やかな印象だ。祭りの本番は8/26の前後の近い日曜日。朝7時くらいから始まり、終わるのは15時ごろである。東谷口地区はなかなか獅子舞をやっているところが見つからず、最後の最後で取材させていただけて本当に良かった。

 

Ps. 山中の獅子舞について

ムラタフォトスの村田和人さんに、山中温泉の獅子舞について調べていただいた。朝風呂で地道に地域の方にヒアリングしていただき、以下のことがわかった。菊の湯(総湯)から見て、東西南北で4つの地区に青年団は分かれていたらしい。南の「南友団」、東の「東志団」、西の「西北団」、北の「桂木団」の4つである。一番大きかったのが南友団で80名もいた。東志団の獅子は東町の山中産業の倉庫に眠っている。団ごとにバス旅行や親睦会があり、団対抗の運動会もあったそう。当時は、青年団に入っていることが普通のことだった。山中のこいこい祭りの獅子舞は若い人がたくさん関わっておりとても勢いがあるが、それ以上にこんなに獅子舞があったことが驚きである。

 

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また、11/8(日)の北國新聞朝刊に、僕の獅子舞のプロジェクトに関する記事を載せていただいた。記者さんに詳しく取材してくださり、改めて本企画の今までについて振り返るきっかけにもなった。

 

今回の滞在は、今まで以上にたくさんの地域の方々にお世話になった。本の企画会議や、送迎、取材の様子の撮影とサポートしてくださった山口美幸さんや吉野裕之さん、宿泊場所を提供いただいたルロワさん、企画の後押しをしてくださっているあくるめ財団をはじめ、本当にたくさんの方々のご協力でプロジェクトを進めることができている。また、加賀に関わるきっかけにもなったPLUS KAGA projectの後押しもあってこそ、これだけ地域の方と深く繋がることができている。今回、改めてとても恵まれている環境にいることを実感した。次回の滞在は来年2月。来春の子供向けの獅子舞の本の制作のためにも頑張ります。

 

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昨年制作した獅子舞の本については以下からご確認いただけます。今年度はよりバージョンアップをして、子供向けの本を制作する予定です。

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