シリーズ構成
border1 Ghost Pain :2013年6月22日公開
border2 Ghost Whispers :2013年11月30日公開
border3 Ghost Tears :2014年6月28日公開
border4 Ghost Stands Alone :2014年9月6日公開
Pyrophoric Cult :2015年TV放送
攻殻機動隊 新劇場版 :2015年6月20日公開
注、border1~4(+1)の集大成として制作されたのが「新劇場版」
監督 黄瀬和哉 (総監督)
野村和也
脚本 冲方丁
原作 士郎正宗『攻殻機動隊』
キャスト
草薙素子 :坂本真綾 リーダー。脳核以外全て義体
バトー :松田健一郎 眠らない目を持つタフガイ
トグサ :新垣樽助 ほとんど義体化されていない。妻子持ち
イシカワ :咲野俊介 ハッキングのスペシャリスト
サイトー :中國卓郎 超A級スナイパー
バズ :上田燿司 潜入捜査のプロ
ボーマ :中井和哉 爆破のスペシャリスト
ロジコマ :沢城みゆき 初期AIの機動アンドロイド
クルツ :浅野まゆみ 501機関のリーダー
ツムギ :野島健児 501機関の義体メンテ専任者
荒巻大輔 :塾一久 公安9課長
感想
今まで紹介して来た「ARISE」シリーズの最後を締めくくる作品。
突き詰めれば501機関の上司だったクルツと、草薙素子のドメスティックなドラマ。
ストーリーの基本テーマは義体の「デッドエンド」問題。人体を部分的に機械と代替して行くのが「義体化」。だがパーツが次々に開発されると、当然旧パーツとの互換性を確保しなくてはならない。
様々に起こる戦闘は、旧システム維持派と技術革新派との争い。
今の世界でもWindowsなんて10になる前は、無慈悲にサポート終了期限が設定されていた。
だがちょっと待て。
脳以外は全て義体の草薙と、成長不全で義体化出来ない代わりに遠隔操作義体を操って来たクルツ。これってどう違うのか?
草薙がクルツの死を疑った時、脳核があるかないかを判断基準にしたが、結局脳核がなくても義体をオペレーション出来るという事は、システムとして草薙とクルツは同じ技術グループに属するのではないか。
義体に対する理解がまだ不十分なのかな?
まあ、これ考え出すとキリがないからこの辺で切り上げて・・・
結局クルツは、機能不全の我が肉体を捨てて「第3世界」というネット空間に消えた。
このエピソードにつながるのが「攻殻機動隊」。そしてネット空間に吸収された草薙が事件を解決するのが「イノセンス」
映画で注目を集めた時には、草薙はネット空間に消えていたという事で、前の2つの映画は「燃えよドラゴン」的な雰囲気があるが、今回「攻殻機動隊」というチームアクションが堪能出来て、これはこれで楽しかった。
あらすじ
プロローグ
子供用の養護施設。
施設内を走り回る少女時代の草薙。黒人の双子の少女に会う。
その先の庭に、車椅子の少女。歩き出そうとするが、倒れる。
その少女に手を差し伸べる草薙。
ニューポートシティ2029年3月。国防軍の将校11名が、東亜連合大使館に人質を取って籠城する事件が発生。
国防省の格下げに対する抗議。
機動隊が大規模な包囲網を築くが、草薙が総理補佐官の藤本修から出動権限を取付ける。
自分の独立部隊で突入して、制圧し首謀者たちを拘束。人質を解放するが、その中の数名がゴーストハックされて犯人たちを銃殺。
もう一人居た犯人の所在を確定し、サイトーが狙撃しようとしたが逃げられる。目視した姿は草薙。
その同時刻に、総理の藤本彰が会議中に爆殺される。そこに同席していた、草薙の元上官クルツ中佐も巻き添えで死んだ。
遺体のクルツに対面に行った草薙は、その帰り藤本補佐官に会う。
父だった藤本総理のDNA鑑定のために来ていた。
総理は死の直前、息子へ何らかのメッセージを出したが妨害されたと言う。それを調べて欲しいと草薙に頼む補佐官。
ハリマダラ社に民営移管された501機関ビルへ、義体メンテナンスのスペシャリストであるツムギを訪れる草薙。
総理らが殺されたのは義体のデッドエンド問題によるもの。電脳のバージョンアップに伴い、旧義体のメンテナンスが受けられなくなる。総理はデッドエンド回避に反対する陣営に抹殺された・・・
イシカワの調べで、爆破直後クルツの電脳からデータ転送された形跡が判明し、草薙に報告される。
データが転送された先である、自分とクルツが育った養護施設に向かう草薙。車椅子の少女クリスに会い、クルツの最後のメッセージを共有して、データによる「第3世界」というものがある事を知る草薙。
ボーマが、総理暗殺の現場で爆破状況の再現を行い、監視カメラの存在を発見。その監視元である公安の外務省執行部に押し込む草薙。
彼らは、洗脳のためのトリプルパッケージを有するウイルス「ファイアスターター」を追っていた。
その売り手が、草薙と同じ義体を使用しているという。
調査の結果、総理の暗殺には陸軍のナダ大佐、国防省の北原副大臣が関わり、彼らが何者かに操られていたことが判明した。
総理殺害のために、国防省の部隊が利用された。恐らくファイアスターターの仕業。
収集した情報から、情報収集艦と思われる新浜沖の幽霊船が特定される。
部隊メンバーと共に艦内へ潜入する草薙。
システムへ侵入して内部データを取得すると、草薙はメンバーをネットのロビーに召集し、今後単独で動くと宣言して部隊を解散した。
過去の事件を追っていたイシカワは、偶然草薙の経歴を知る。
デッドエンド問題の裏で義体開発者夫婦が消えた。
妊娠していた妻から草薙が生まれたが、0歳児での全身義体。
軍の備品として育てられた。
草薙は藤本補佐官に会い、彼の隠された記憶をハッキング。息子が操られて爆弾を父の元へ送った。
クルツの遺体を調べる草薙。頭部にある筈の脳核はなく、チップがあるだけ。クルツの体は遠隔操作義体だった。
その本体はファイアスターターと言われる、草薙と同じ義体。
ハリマダラのビルに乗り込む草薙。妨害を受ける中、相手の防壁を辿ってツムギの存在を知る。クルツは我々の一部分だと言うツムギ。
そこにクルツの部下ライゾーの猛攻を受ける。いつもの能力が出ず、腕をもがれ銃撃を受けて動けなくなる草薙。
そこに現れた草薙と同義体のクルツ。
クルツを狙撃するサイトー。
その隙にロジコマとバトーが駆け付けて草薙を救出。
草薙の隠しラボでの修復。全身に武器を内蔵させて、義体本来の性能を落としていた事を「お前らしくない」とバトー。
東亜連合の要人たちと裏会合をする、草薙義体のクルツ。
5千億ドル規模のビジネス。
メンテナンスを終え、防壁を逆進してツムギに辿り着く草薙。
ツムギの話す真相。クルツの多重義体は秘密事項だった。今回の目的は、どの勢力が勝っても生き残ること。
東亜連合の目的はデッドエンドによる技術革新とその独占。
デッドエンドを迎えていない子供たち。彼らは次世代型となり、長期的バージョンアップを実現する・・・・それは同じことの繰返し、と草薙。
「君はいつでも自由だった。羨ましいよ」とツムギ。
どのみち私達の脳は限界だ。その前に第3世界へシフトする。
データの海の一部になる事を祈って・・・
再びクルツと草薙の戦い。それを制してクルツを捕縛した草薙。
リードを繋ぎ「そこにいたの」
自分が育った養護施設へ向かう草薙。
そこでカプセルに入った少女クリスを見つける。クルツの本体は、
初めからこの少女クリスの中にあった。
水没して行く少女に寄り添う草薙。
いつからそうしていたの? 「最初から」
成長不全をマイクロマシンで補い、義体化出来ない代わりに多くの義体を動かして来た。
ファイアスターターを開発したのは、あなただったの?
いずれお前にも分かる。情報パッケージの多様性と、新たな世界の誕生。私はそこへ行く。みんながいる所へ・・・・
カプセルの中から手を当てるクルツに、手を重ねる草薙。
「お前が、こんな世界に残ることを憐れむよ」
限界が来て水中から脱出する草薙。
逮捕された職員に、なぜ彼女を利用したの?と聞く草薙。
電脳と義体。それが陥るデッドエンド回避のための二つの可能性。
それが君と彼女だった。それだけのことだ。
残った子供たちに、未来をつくれ!と伝える草薙。
総理暗殺の容疑で、首謀者の商務省イトウ次官を捕えた荒巻だが、完璧な根回しで薄笑いのイトウ。荒巻が、暗殺されるぞ、と警告するが「ここは平和主義の文明国だ」と返す。
そこに光学迷彩で侵入した草薙。「あら、そう?」
次官を射殺して降下して行った。
エピローグ
桜が満開の寺で、桜の24時間監視という名の花見をしているメンバー。そこに荒巻が新たな指令が来るが、草薙は「いやよ」
ロジコマにデータチェックさせると「予算通過確認しましたー♪」
「出るぞ!」 草薙が檄を飛ばす。
「お前たちは、私が手に入れた最高のパーツだ。
パフォーマンスを発揮し、事件を取れ!」