今、地方の企業が目指すのは、「ラストワン」

2002年(平成14年)、SMAPの「世界に一つだけの花」がリリースされ、300万枚を超える大ヒットを記録しました。
そのあたりから、個人も企業も
「ナンバーワン」より「オンリーワン」
という価値観が一般的になりました。
企業で言えば、目指すのは「規模」ではなく、「独自性」だよと。
この背景にあるのは、従来型の商売のほとんどが、(マーケットが)飽和状態になり、企業が簡単に「規模」を追えなくなった、ということでしょう。

それから17年、ビジネスの環境もまた一段大きく変わりました。
特に人口減少が著しい地方では、マーケットが「飽和」から「縮小」に転じ、企業が目指すべきものにも変化を迫られています。
それは、「オンリーワン」から「ラストワン」です。
縮小するマーケットで最後に残る一社を目指す、という考え方。

例えば、ある町内のあるエリアで、20年前に5軒あったスーパーマーケットが徐々に減り、現在2軒だけ残っているとします。
この状態からスーパーに求められるのは、「オンリーワン(独自性)」ではないでしょう。
「ウチの店は、他のアイテムはともかく、魚だけはどこにも負けないよ」
とアピールされても、周辺住民は困ってしまいます。
この状態で求められるのは、そのエリアを最後まで引き受ける、という覚悟と体制作りです。
自店ともう一つのライバル店、どちらが「ラストワン」になるのにふさわしいか。
自店が「ラストワン」になったとき、お客が困らない供給体制が整えられるか。

しかしこの覚悟に、必ずしも悲壮感をもつ必要はありません。
「ラストワン」は「独占」でもあります。
「ラストワン」は無茶な競争に巻き込まれることもなく、安定して利益を残せる状態でもあります。
実際、スーパーに限らず、製造業やサービス業においても、地方で今儲けている会社の多くは、それぞれのマーケットで生き残った会社なのです。

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