百貨店退店の跡に誘致すべきもの

百貨店退店の跡に誘致すべきもの、それはイオンではなく「会社(オフィス)」です。

関西の自宅のすぐそばにある百貨店が、再来月8月に閉店します。
バブル直前の平成元年、市のニュータウン開発の計画に沿って、その中心駅に出店した百貨店。
あれから30年あまり。
「企業の寿命30年説」というのがありますが、この30年は企業よりも「流通」の世界の方が環境が激変しているように思えます。

百貨店が退店に追い込まれた理由、これは誰でもすぐに挙げることができるでしょう。
イオンモールの全国展開
ニュータウンの高齢化
若者のブランド離れ
ネット通販の台頭
などなどなど。

百貨店が閉まると、地元では必ず次の商業施設を待ち望む声が上がります。
これを好機ととらえ、もっと魅力のある商業施設を誘致したいと。
百貨店が退店に追い込まれる理由をいくつも挙げておきながら、その一方で次の商業施設を待ち望む。
矛盾しています。
個人消費が枯れた場所では業態を変えたところで、いい結果はまず出ないでしょう。

百貨店が退店した後に誘致すべきは、「会社」と考えます。
百貨店の地下と1階は比較的健在ですから、それは残し、2階以上をオフィスにする。
つまり、「消費する場」を「働く場」に変えるのです。

「個人の支出」と「会社の支出」は、仕組みが違います。
会社はまず「支出」をしてから稼ぎます。
逆に、個人はまず稼いでから「支出」します。
ですから個人消費が枯れているなら、まず稼ぐ場所を与えるべきでしょう。

何も大きな会社を誘致する必要はありません。
郊外の百貨店の周りはすべて住宅地です。
百貨店跡がオフィスになれば、そのまま「職住近接」です。
新型コロナ禍を経験し、その後の「ニューノーマル」を模索する過程で、リモート、サテライトオフィス、コワーキングスペースなど、「職住近接」の需要は高まるでしょう。

「働く場」が充実し、そこに人が行き来するようになる。
「消費の場」が必要になってくるのはそれからです。

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