H30第2回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1) 次の文章は、光ファイバ接続時の損失発生要因などについて述べたものである。
シングルモード光ファイバの接続点における損失は、接続される2本の光ファイバの位置決めが不完全であることにより生ずるものの影響が大きく、損失発生要因には光ファイバコアの軸ずれ、光ファイバの軸の傾斜及び端面間の間隙などがある。これら損失発生要因のうち、一般に、光ファイバコアの軸ずれによる損失が最も大きく、光ファイバコアの軸ずれによる接続損失値Le 〔dB〕 は、コアの軸ずれをd 〔μm〕 、【モードフィールド径】をw 〔μm〕 とすると、次式で近似値を求めることができる。
Le = 4.34×(d/w)^2
融着接続において融着接続機の【ファイバクランプ】にゴミが付着していると、光ファイバを押さえる力が不均一になり軸ずれの原因となるため、光ファイバを融着接続機にセットする前に清掃を行う必要がある。また、光ファイバ接続部に気泡が見られる場合は、光ファイバの側面に傷をつけ曲げ応力で切断するときに生じた切断面の不良がその原因の一つとして考えられるため、一般に、【光ファイバカッタ】の確認を行い接続をやり直す必要がある。
融着接続後は、著しく弱い接続部を除去するため、光ファイバに一定の荷重を一定時間加えて【スクリーニング】試験を行う。光ファイバの融着接続部は、緩衝層や被覆層が除去され石英ガラスが露出していることから、接続部の補強を行うために、熱収縮スリーブを用いた補強法が広く用いられている。

(2) 光ファイバのメカニカルスプライス接続などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、(①) である。
① メカニカルスプライス接続は、メカニカルスプライス素子を用いて光ファイバ端面を突き合わせ機械的に把持する永久接続法の一つである。
② メカニカルスプライス素子の光ファイバ端面を突き合わせる部分には、一般に、光ファイバ端面の欠け、バリ、異物などによって生ずる光損失を補正するために、屈折率整合剤が充塡されている。
③ 単心用のメカニカルスプライス素子は、主に地下の区間において、配線系の光ファイバケーブルどうしの接続に用いられている。
④ 複数のV溝を設けた多心用のメカニカルスプライス素子は、マンホール内での幹線系光ファイバケーブルどうしの接続に広く用いられている。

(3) CATVシステムにおけるHFC方式の構成などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、(②) である。
① HFC方式はヘッドエンドから光ノードまでを光ファイバケーブル、光ノードからユーザ宅までを同軸ケーブルにより構成することにより、同軸ケーブル方式と比較して広帯域な伝送が可能となっている。
② HFC方式の光ノードと同軸アンプには同軸網を利用して給電が行われ、一般に、直流により給電されている。
③ HFC方式で光映像配信技術として用いられるSCM方式は、送信側において、周波数多重されたケーブルテレビ信号で光強度変調を行い、光ノードにおいてその光信号を電気信号に変換し、同軸ケーブルで配信する方式である。
④ HFC方式に使用する光受信機にはPIN-PDが用いられ、光入力レベルの調整にプラグ式やスイッチ式の光アッテネータが使用されている。

(4)環境などの外的要因による線路設備への影響とその対策などについて述べた次のA~Cの文章は、【ACが正しい】。
A 温度変化による伸縮や車両が通行することによる振動でケーブルが移動する現象はクリーピングといわれ、車両通行量が多い傾斜地や路面の凹凸が著しい直線道路、及び走行車両のほぼ真下に埋設されたケーブルにおいて、特に発生しやすい。
B 寒冷地では、管路内の溜水が凍結することによりケーブルを圧壊し、故障を起こすことがりゅうある。ケーブルの圧壊を防止するには、管路内にケーブルと一緒に金属製パイプを布設することによりケーブルに加わる凍結圧を減少させる方法がある。
C リスのようなげっ歯類動物、コウモリガの幼虫などによるケーブル被害の対策には、HSケーブルを用いるのが効果的であり、局部的な対策には、防リスシートを用いて防護する方法がある。


(5)図に示すような平面線形の地下管路区間においてX地点からZ地点へ、以下に示す条件で光ファイバケーブルを布設する場合、Z地点でのけん引張力は、【970】N である。ただし、重力加速度gは10 〔m/s^2〕 とする。(条 件)ⓐ 光ファイバケーブル質量 :0.5 〔kg/m〕ⓑ X~Y間の布設距離 :200 〔m〕ⓒ Y~Z間の布設距離 :100 〔m〕ⓓ 繰出し点Xの初期張力 :100 〔N〕ⓔ 摩擦係数μ :0.5ⓕ 交角 :20度ⓖ Y点での張力増加率 :1.2ⓗ 光ファイバケーブルの布設ルートは平面とし、高低差はないものとする。

H30-2問5

メモ:https://www.optigate.jp/basic/important.html

敷設張力の計算方法例

T=10fWL直線部の張力〔N〕=重力加速度〔m/s^2〕×摩擦係数×ケーブルの質量〔kg/m〕×直線部の長さ〔m〕T1(XY間)=10×0.5×0.5×200=500 +初期張力(X点)?初期張力+T1=600
T2=T1×K=600×1.2=720 Y点での初期張力
Z地点でのけん引張力=Y点での初期張力+YZ間の直線部の張力(10fWL)
Z地点でのけん引張力=720+10×0.5×0.5×100=970

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