noriba-ba's garden

モロッコ旅日記10~様々な顔を持つ国モロッコ~

 引き続きモロッコ旅日記を…。

今日はアイト・ベン・ハッドゥの後半から。

 

雄大なアトラスの山々が見える頂上の砦をあとにして

私たちは再びムサさんのお宅へと向かう。

ミントティーをごちそうになる予定なのだ。

その道の途中の街角で

観光客相手にお土産用の風景画を描いている人がいた。 

近くに寄って覗いてみると、何と…。

黄色の絵の具一色で街の風景を描いているではないか。

もしかして、これは…と見ていると

案の定、しばらくすると

描き終わった絵をすぐ傍にある火にかざし始めた。

すると黄色が徐々に茶色に変化していく。

はは~ん、やっぱりアレか…。

見る見るうちにアイト・ベン・ハッドゥの街の風景が

くっきり鮮明に浮かび上がってきた。

そして、これこの通り…と完成した絵を見せてくれた。

この街ならではの独特の色彩や雰囲気を

とてもリアルに表現している。

私が子どもだった頃、ミカン汁で良く描いていた

あのあぶり絵を思い出して何だか懐かしい気持ちになる。

こんな絵はここでしか買えない。

だったら買わなきゃ!

そんな声がどこからか聞こえてきて…。(笑)

私がお土産に買った一枚がこれ。

日本に戻ってから、ステンドグラスでこんな額を作り

今、私の山のアトリエの壁に飾っている。

この絵を見るたびにアイト・ベン・ハッドゥの街と

あの素晴らしいアトラスの景色を思い出す。

今、この街の住民のほとんどは新しい街に移り住んでいるらしいが

観光客のために開放されている家が数か所ある。

ムサさんのお宅もそのひとつだ。

ムサさんのお宅では例によってモロッコ定番のおもてなし

あのとてつもなく甘~いミントティーと

素朴な味の手づくりのクッキーをいただいた。 

モロッコに来て初めてこのミントティーを飲んだ時は

さすがにそのハンパない甘さに驚いたのだが

何度も飲んでいるうちに慣れたのか

その甘さがそれほど気にならなくなってきた。

いや、ヤバい…私は糖尿病なのだ。(笑) 

ミントティーのあとは、室内の様子を見させてもらう。

ここはカラフルなカバーが掛けられた寝室、あるいは居間だろうか。

壁にはモロッコ特産の絨毯や敷物が飾られ

右の方には手織り機や色とりどりの糸が置かれたこの部屋は

さながらモロッコ物産展のようだ。

ムサさんのお宅をあとにして麓へ下りてくると

アーモンドの木にようやく花が咲き始めていた。

フェズで見たアーモンドの木はすでに満開だったと思うが…。

ここは寒いのだろう、まだ蕾の方が多かった。

麓の村でツアー仲間の持っているキャンディーに

手を差し出す地元の子どもたち。

戦後の日本でもよく見られた光景だ。 

アイト・ベン・ハッドゥをあとにして

バスは再びアトラス山脈を越えて目指すマラケシュへと出発。

途中の雪をかぶった山々の風景ももう慣れっこになり

珍しく感じなくなったことに驚く。(笑)

標高2260mのティシュカ峠で昼休憩。

やっぱりここも周りは見渡す限りの雪、雪、また雪…。

雪の風景にはもう驚かないが

こんな標高の高い道路でもちゃんと整備されていることに驚く。

やるな、モロッコ…。(笑) 

峠を下りていく途中で立ち寄ったアルガンオイルのお店。

オイルの材料はアルガンの木から採れる実で

そのアルガンという木はアトラス山脈の奥深い森にしか

生息していない貴重な木なんだとか。

そうか、だから高価なのか…。

 

聞くところによると

野性のヤギがこの実が大好物で

何と、その木に登ってまで食べるのだそうだ。

え~っ、ヤギが木に登るって?

ウソ~と思うが、決してウソではない。

実際にヤギがこの木に登って

アルガンの実を食べている証拠写真があるのだ。

そして絵葉書として売られているのだ。

それを買って来た私が言うのだから…間違いない!(笑)

 

その貴重なアルガンの実からオイルを絞る様子を

この女性たちが実演して見せている。

いくら観光客相手のデモンストレーションだとしても

ひとつひとつ手作業で殻をむき、実を絞っていく

その工程を間近でつぶさに見ていると

これだけ手間ひま掛けて作るのだから

アルガンオイルが高価なのも当然だと思えてくる。

 

う~ん、なかなか上手いやり方だ。

さすが商売上手なモロッコ人。(笑)

店内にはオイルだけでなく、化粧品やせっけん

ハンドクリームなどの美容に関する商品がいっぱい。

この他にもベルベルジャムと呼ばれる

アーモンドとはちみつとアルガンオイルで作った

ベルベル人の伝統的なジャムも売られていた。

このベルベルジャムを試食してとても美味しかったので

ついお土産に買ってしまった。(笑)

 

また、アルガンオイルがここでは

日本で買う値段の半額ほどで買えるらしく

わざわざこのオイルだけを買いに

モロッコにやって来る日本人もいるとか…。

そして、美肌効果はもちろんのこと

おまけにリウマチにも効くと聞けば

そりゃあ、買わない手はない!

再びどこからか聞こえてくる声にそそのかされ…(笑)

また、たくさんのオイルを買い込んでしまった。

どうも、旅も後半になってくると

ついつい財布のひもが緩んでしまう。(笑)

 

このアルガンオイル店は

店内の垢ぬけた雰囲気、店員のそつのない接客態度

そして行き届いた商品管理から察するに

かなり観光客相手の商売に手慣れた感じがする。

おそらくモロッコ観光の定番ルートになっているのだろう。

今まで行ったモロッコのどの店とも

明らかに違う洗練された雰囲気が感じられ

この店でモロッコの新たな一面を見たような気がした。


今にして思う。

この店は観光客の購買心を巧みにくすぐり

衝動的に買わせるノウハウを持っていたに違いない。

だからこうして私も

まんまとその罠に嵌ってしまったという訳だ。

またしても、やるな、モロッコ…。(笑)

アルガンオイル店からマラケシュに向かうバスの中で

つい買い過ぎたと後悔する意志の弱い私。(笑)

いや…でも、ここでしか買えないし、半額でお得だったし

たまにはいいじゃないのこれくらい…と再びどこからかの声。(笑)

そうこうしているうち

車窓にサボテンが多く見られるようになってきて

よく見ると赤い実がなっているものもある。 

モロッコではこのサボテンを食糧だけでなく

赤い実からオイルや化粧品も作るという。

自然の恵みを余すところなく活用しているのだ。

またまた、やるな、モロッコ…。(笑)

さすが食糧自給率100%の国だ。

 

片や食糧自給率わずか38%にも拘らず

賞味期限切れや食べ残しの食品廃棄処分が

日々当たり前のように大量に行われている日本。

 

このモロッコと日本の違いはどこからくるのだろう。

先進国と発展途上国の違いだけだろうか。

他に何か理由があるかも知れない。

そもそも、先進国は発展途上国に比べて

何がどう進んでいるというのか。

国が豊かであれば人々は幸せなのだろうか。

 

モロッコの国のあり方や人々の暮らしぶりを見て

改めて日本の国や日本人について考える。

そして感じた様々な疑問や矛盾…。

でも、その答えは容易に見つかりそうもない。

 

そんな複雑な思いを抱きながら

ボンヤリと車窓を眺めているうちに

バスはいつの間にか目的地のマラケシュに着いた。

マラケシュのホテルに着くとすぐ

歩いて行ける近くの大型ショッピングセンターに

 買い物に出かけることになった。

日本各地にあるイオンのような近代的な商業施設で

人々の様子もほぼ日本と変わらない。

モロッコでこんな所に来たのは初めてだ。


ここでは添乗員さんお勧めの

イナゴ豆のカカオで作ったモロッコのチョコレートや

クッキー、オリーブオイルなど

いくつかの食品をお土産に買って帰った。

 

海外に行くとスーパーでの買い物が楽しみだ。

観光土産物店では見られない日用品や食料品もあり

何より地元の人々の生活感が感じられる。

おまけに値段が安くてお土産にするにはちょうど良いのだ。

ただ、レジでのやり取りには不自由するが

それもまた旅の楽しみでもある。

 

それにしても…

この近代的なショッピングセンターと

今まで旅してきたモロッコ各地の風景や

先ほどまで居たアイト・ベン・ハッドゥとの違いに

大きなギャップと戸惑いを感じる。

でも、これもモロッコの新たな一面なのかも知れない。

一体いくつの顔を持っているのだモロッコは…。(笑)

 

そうなのだ、私にとって

モロッコは様々な顔を持っている国なのだ。

景色や気候のみならず

行く先々の街の風景やお店の様子

そして人々の暮らしぶりまで

実に変化に富んだ多彩な国だと感じる。

今まで様々な国を旅してきたが

これほどまでの多様性を感じた国は他にない。

 

だから私は

「何でモロッコ?」 という質問に対して 

「だからモロッコ!」と答えたい。

モロッコはグリコのように「一粒で二度美味しい」じゃなく

三度も四度も、いやそれ以上も美味しい国なのだから…。

 これを味わわないという選択肢がどこにある?

 

さて明日はいよいよ、この旅の最終日。

ベルベル人たちが築いた王朝の古都マラケシュの観光だ。

 

続きはまた。


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