#メキシコ料理店【脚本編㉔】
そんな中、Oは自宅で休憩を入れ、キッチンへ行き、冷蔵庫の中から缶ジュースを取り出すと、蓋を開けて、それをごくりと飲んだ。その冷たさが喉越しにさわやかに感じる。O:「でも、私は過去に日本の出版社に幾度もボツにされ、無駄に時間をつぶした。その時間はどうあがいても戻ってこない。今後、日本の出版社が翻意し、私と契約を結びたいと言ってきたとしても、版権は私にある。私を25歳や34歳に戻せないだろう。時間はお金では買えない。そういう意味では、この先、日本から何千億、何兆とお金を積まれようが、どんなに莫大なお金を提示されても、それで過去に戻せるわけではない」そう言うと、Oは缶ジュースを後は一気に飲み干し、その空いた缶を手で握り潰した。怒りをぶつけるがごとく…。Oの日本への憤りはなかなか収まらない。今の言葉がこれまでタダ働きをさせてきた日本への素直な気持ちだった。Oは夕飯を摂るため、自宅を戸締りし、ガスの点検をして、玄関を出ると、車庫に止めてある車に乗り込もうとした。→Reflection Shot→運転席に乗り込もうと近づいてくる、バックミラーに映るOそして、運転席側のドアを開け、ハンドルを握ると、しっかりと座席の位置を調節し、ルームミラーを合わせた。→Reflection Shot→ルームミラーに映るOの目元そして、近くのレストランへ行った。その時、Oのもとに携帯電話が鳴った。しかし、運転中で、出られない。だが、Oの車は最新式だ。→Sound Effect→携帯電話の着信音その瞬間、機転を利かせた。Oは運転操作をマニュアルオートマから「自動運転」にスイッチを切り替えた。ハンドルを握らずとも、車が自動的に勝手に運転をする。そして、Oは携帯電話も自動のステレオのスピーカー方式に切り替えた。両手は自由だ。O:「Hello?」相手:「Hello, this is ㊾.」O:「Oh, ㊾. How are you?」相手:「Not fine. I'm talking about...」そう言って、車中で相手の㊾と話し込んだ。そうこうしているうちに、近くのレストランに着き、車を駐車場に止めて、中に入っていった。店員:「May I help you?」O:「Yes. I'll take Mexican Tacos, burrito and Sprite, please.」店員:「You like Mexican cuisine, ha?」O:「Yeah, I love it. And with dancing salsa gets much better.」店員:「Oh, you know it. Mexican cactus is used cooking too.」O:「Oh, really? それなら、夏のキャンプは首都のメキシコシティで。Are you Mexican?」店員:「No, but My fatheris Mexican.」O:「Okay, Gracias.」そう言葉を掛け合うと、女性店員は笑いながら、注文を聞きつけ、右手を軽く挙げてからぺこりと倒し、後はそのまま厨房のほうへと引っ込んだ。