新・生き残りのアントレプレナーシップ~MBAでは分からない魂の話~

作家の村上春樹さんが、文章についての多くを、いや、殆んど全部を学んだというデレク・ハートフィールドという作家の本を読んでみたい。学生の頃、そんな事を考え、図書館を探し歩いた学友がいました。

しかし、デレク・ハートフィールドの代表作と言われる「冒険児ウォルド」は、どの図書館に行っても読むことが出来ませんでした。

それもそのはずです。

風の歌を聴け」の「あとがき」で、村上春樹さんは、アメリカにあるデレク・ハートフィールドの墓を訪れたとしています。

ところが、デレク・ハートフィールドとは、その存在自体が村上春樹さんによる創作だったのです。

同じ学友が、ある時、民明書房という出版社の本を読んでみたいと考え、民明書房が発行した本のタイトルを「勃てよ日本人」、「EYEこそすべて」などと言うように、ある文献(全34巻)で調べ上げ、図書館に購入希望を申請したことがありました。

ただし、その時に、彼が参照した文献とは百科事典などではなく、漫画家・宮下あきらさんの代表作「魁‼男塾」だったのです。

魁‼男塾」では、主人公・剣桃太郎を始めとした登場人物たちが繰り出す現実離れした必殺技などを、実在しない民明書房の本を引用して解説することでリアリティをもたせる手法が用いられていました。

彼はこの演出を真に受け、民明書房の本を読もうと考え、図書館に購入希望を申請してしまったのです。

今となっては民明書房デレク・ハートフィールドネタであることは、検索エンジンなどで直ぐに分かります。しかし、インターネット登場以前は、こういう事を調べるのにもそれなりの努力が必要でした。

この世の中で、当たり前・常識と考えられている既知の物事には、過去に何者かが行動を起こし、真偽や可否などを解明すべく取り組んだ経過があるのです。

例えば、フグの毒とその調理方法です。フグは部位によっては食べると死にます。

現在は調理方法が確立され、フグ調理免許制度が導入されています。しかし、そこに至るまでには、どの種類のどの部位は食べても平気なのかを解明していく過程があったのです。また、この解明の過程では、この課題に取り組む先駆者がいたはずです。

鉄砲のように当たると死ぬ。そんなリスク挑戦する勇気ある先駆者たちがいたから、私達は毒の向こうにある美味を安全に楽しむことが出来るのです。

何事も最初の一人目(さきがけ)になることは非常に難しく、その成果には大きな価値があります

フグ料理を食べるのは、かつてはロシアンルーレットのような命懸けのグルメだったのです。しかし、先人達の取り組みにより、安全な道が開かれました。今も様々な分野で、勇気ある先駆者―勇者―の登場が待たれています。

宝探しにはリスクが付き物です。しかし、リスクを怖れて宝探しをしない者は絶対に宝を得ません。リスクの高い挑戦への批判をするのは簡単ですが、幾ら批判をしても宝は得られません。ならば、時間の節約の為にも、批判せずに何もしない方を選びましょう。

さて、「魁‼男塾」の舞台・男塾は、次世代のリーダーを輩出すべく、全国の不良少年たちを集めて、過激な軍国主義的スパルタ教育で鍛え、男を磨く私塾として描かれています。

男を磨くと言えば、皆さんは、薩摩の教えとして伝わる「男の順序」というものをご存知でしょうか。

この「男の順序」では、(というよりは人物)を次の順序で5段階評価しています。

1 何かに挑戦し成功した者


2 何かに挑戦し失敗した者

3 自ら挑戦しなかったが挑戦した人の手助けをした者

4 何もしなかった者

5 何もせず批判だけしている者

読者の皆さんは、この5段階ですとご自身は何処に当てはまるとお考えでしょうか。

我が国には、起業・独立を志望するビジネスパーソンが概ね100万人いると言われています。しかしながら、実際に起業・独立を果たすのはその内の2割程度であると言われています。

起業・独立に興味を覚え、視野に入れる段階で、その方はその他大勢に比べると、十分なやる気を持った人材であると言えるでしょう。

しかし、その十分なやる気を持った起業・独立を志望する人材であっても、残念ながら、大半が「男の順序」で言うところの「4 何もしなかった者」や「5 何もせず批判だけしている者」に当てはまっていると考えるべきです。

要するに、口だけなのです。

あなたが、もし、5年後の生存率15%未満、10年後の生存率7%未満、20年後の生存率は1%未満という起業・独立の現実を乗り越え、生き残るアントレプレナー(起業家)を目指しているのでしたら、「男の順序」で言うところの「1 何かに挑戦し成功した者」や「2 何かに挑戦し失敗した者」であり続ける努力を続けてください。

何もしなかった者と言っても、ニートや引きこもりなどの事ではありません。何らかの価値創造に向けて挑戦したかどうかが問われています。普通に仕事をこなしただけで、新たな価値を創造するような挑戦に取り組まなかったのなら、それは何もしなかった者です。

全員が何かに挑戦し成功するのは難しいところです。しかし、やる気あふれる人材が団結し、チームを作り、チームの力で成功の可能性を高めることは出来ます。当サイトでも、チーム作りの場を準備中です。

勿論、常に「1 何かに挑戦し成功した者」であり続けるのがベストですが、「2 何かに挑戦し失敗した者」になったとしてもクヨクヨする必要はありません。

その失敗を糧にして、次の成功に向けた挑戦を続ければ良いのです。

若しくは、敢えて「3 自ら挑戦しなかったが挑戦した人の手助けをした者」となる道を選ぶ方法もあります。誰かが掲げた志の旗の下に集い、団結してチームの力挑戦に取り組むのです。

いずれにしても、アントレプレナー(起業家)を目指す上では、「4 何もしなかった者」や「5 何もせず批判だけしている者」が主導権を持った環境に居続けることは得策ではありません。組織の風土や文化に一人で抗うことは非常に困難ですし、あなたの前向きなエネルギーをぶつけられる機会を、そのような環境ではなかなか得られないからです。

まずは週末や夜間だけでも、何かに挑戦するためのチームに入るなどして、「1 何かに挑戦し成功した者」を目指すための環境を求めましょう。

そして、何れかの分野の先駆者(さきがけ)となり、後世に大きな価値を残してください。

評価してください! 
1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (最初の評価者になってください)
読み込み中...
※★を選択することで誰でも簡単に5段階評価ができますのでお願いします。