長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』

2019-09-16 | 映画レビュー(わ)

ジャンル映画への多大なリスペクトを『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ』としてリツイートしてきたエドガー・ライト監督の作品にはエールを送りたくなってしまう愛嬌と熱意があるが、そこにはボンクラ映画特有のグダグダ感もあり、それが時に打算に感じられてしまう事もままあった。

今回は『遊星からの物体X』や『光る眼』といったジョン・カーペンター監督作に“パブクロール”という英国文化をマッシュアップしている。エイリアンの地球侵略が進む田舎町を舞台に、意地でも12軒のパブをハシゴしようとするサイモン・ペッグは確かに可笑しい。しかし、終盤にはそのアイデアの樽も枯渇し、開栓時のフレッシュさは失われている。

注目はサイモン・ペッグ、ニック・フロストのおなじみコンビに加え、その同級生役でマーティン・フリーマン、パディ・コンシダイン、エディ・マーサンら英国の中堅陣を揃えたアンサンブルの楽しさだ。この俳優の魅力を引き出す演出手腕は続く『ベイビー・ドライバー』へと結実し、ライトはようやくボンクラ映画監督からオリジナルな映画作家へと進化を遂げる事になる。


『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』13・英
監督 エドガー・ライト
出演 サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、マーティン・フリーマン、パディ・コンシダイン、エディ・マーサン、ロザムンド・パイク
 

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