長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『アルファ 帰還りし者たち』

2019-12-03 | 映画レビュー(あ)
 
『ポケットいっぱいの涙』『フロム・ヘル』『ザ・ウォーカー』で知られるアルバート・ヒューズ監督8年ぶりの新作。弟アレン・ヒューズとのコンビ監督として知られているが、近年はそれぞれでソロ活動をしているようだ。本作は2万年前の氷河期を舞台に、仲間とはぐれた少年ケダと狼のアルファによる帰還の旅が描かれる。

 登場人物全員が古代語と思しき言葉を喋り、中盤以後はケダとアルファの2人芝居でほぼセリフもなしというコンセプチュアリーな作りで、ヒューズも独自の映像センスをさく裂させている(ちょっとフランク・ミラーのグラフィック・ノベルっぽい絵作り)。だが、この程度のバジェットでは彼の野心的なヴィジュアルを再現するには足らないのだろう。CGはまだしも、美術に関してはBlu-ray以上の画質では見るに堪えない安さである。

一定のヒットを飛ばしてきたヒューズがこれだけの長期間、新作を撮ることができなかったのは由々しき事だが(頓挫に終わった実写版『AKIRA』に時間をかけ過ぎたのかも知れない)、本作は全米で4週連続トップ10入りを果たすスマッシュヒットを記録し、ヒューズの新作も早々にアナウンスされている。願わくば彼のヴィジョンを再現できるバジェットが揃う事を期待したい。


『アルファ 帰還りし者たち』18・米
監督 アルバート・ヒューズ
出演 コディ・スミット・マクフィー
 

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