今年の梅雨はかなり長かったですね。でも八月に入り、ようやく全国的に梅雨明けが宣言され、暑い夏がやってきました。
みなさんのお家のまわりにある田んぼは、今どのような状況でしょうか。田植えから3ヶ月ほど経っている田んぼは、茎も葉も伸びて青々としているでしょうね。でも、その下、つまり田んぼの地面はもしかしたら水が無い状態かもしれません。
これは単に雨が降っていないので水が無くなってしまったというのではなく、水を入れずにわざと田んぼを乾かしているのです。そうした作業のことを中干しといいます。
水がたくさんある田んぼ(人工的な沼地)を好む稲が、水のない環境に置かれるのは大変なことだと思います。しかし、そうした稲を苦しめる(渇水ストレスを与える)中干しと呼ばれる作業はお米作りに欠かせない大切な作業なのです。
中干しが何を目的に行われるのかについてはこちらの動画をご覧ください。
稲は一時期こうした中干しによって、その後の実りの秋を迎える準備に入るのです。ただ、稲は人間の言葉をしゃべりませんので、私たちは外から見た情報で中干しを止める、つまりまた再び田んぼに水を入れるタイミングを見定める必要があります。ではどのような指標があるのでしょうか。
一般的には「田んぼが乾いて地面にヒビが入るまで乾かしましょう」とされているようです。しかし、田んぼは広いですから、一様にヒビが入るわけでもありませんし、大切なことは田んぼの地面の様子よりもむしろ稲の様子ではないでしょうか。
私はこれまで7年間お米作りに携わってきましたが、その経験から中干しが「稲の老化スイッチをオンにする」ことを見出しました。そこで見えるのは稲の葉の色の変化なのです。ですから、今年のサイエンスラボの田んぼでは、毎日葉の色を観察し続けています。
そうした中、今朝田んぼに行ってみると、田んぼの3分の2ほどの面積で、稲の色が黄緑色に変色しているのをみることができました。渇水ストレスが稲に作用して、色の変化という形で現れたのです。
右半分と手前の色が薄いのがお分かりになりますか?また、中央付近と左側はまだ色が濃いですよね。この色の濃い部分は昨年の秋に田んぼを拡張したところで、泥の層が厚く、水分が多いと思われるところなのです。
まだ3分の1ほどの面積は葉の色が濃いままでしたが、それらもおそらく数日のうちに変化することでしょう。
実際に黄緑色に変化した部分(右)と濃い緑色の部分(左)の葉を比較するとこのようになります。違いがわかりますか?
今年は例年に比較して田植えを1ヶ月遅らせました。それはいつも梅雨の時期に中干し期が重なり、結果として十分な渇水ストレスを与えることに失敗していたからです。中干しに失敗すると秋の収穫の時期まで緑色のままですので、倒れてしまいます。
でも、今年は6月7日に田植えを行い、7月28日から中干しを開始しています。その直後に梅雨明け宣言が出ましたので、まさに予定通りです。
中干しが終わり、水を再び入れると穂が出てくるはずです。昔の人が「本当はこの辺では田植えは6月だったんだ」とおっしゃっていたことを実践できていることを嬉しく思います。
*同じ日の午後の様子(黄緑色の範囲が広がっています。あと2〜3日で中干し終了のサイン)
**今後のイベント予定(MSLおやこクラブに入会するとイベント参加費が無料となります)
●MSLおやこクラブ ●歴史文化たんけん教室 ●農業食育教室
●8月22日(土) 秋冬野菜種まきと畑の開墾(サイエンスラボの畑)
●8月30日(日) 羽根田カンポス彗星ってなんだろう?(市博物館)
●9月6日(日) 秋冬野菜の定植(サイエンスラボの畑)
●10月11日(日)稲刈りをやってみよう!(サイエンスラボの田んぼ)
●11月1日(日) 足踏み脱穀を体験しよう!(サイエンスラボの田んぼ)
●11月22日(日)報徳仕法ってなんだろう?
●12月13日(日)化石ってなんだろう?(市博物館)
●●1月17日(日) おもちってなんだろう?(サイエンスラボの畑)