単館系の映画「よこがお」を観てきました。
★ネタバレめっちゃします!!まだ観てない人は読まないでください★
主人公の市子は訪問看護師をしている。
仕事仲間や訪問先の家族や患者からの信頼も厚く、
婚約者もいて順風満帆。
訪問先の長女・基子はニートだったが、市子に憧れて介護福祉士になるべく勉強をしていて、
市子はそんな基子や二女のサキの勉強を見てあげたりと、いい関係を築いていた。
そんなある日、サキが行方不明になり、1週間後に戻って来る。
心配していた市子はほっとするが、なんとサキを連れ去っていたのが自分の甥だと知り、愕然とする。
しかも、偶然サキと甥が会った場にいたことで、
まるで犯罪に関与しているかのように報道されてしまう。
その上、基子が市子と甥の昔の話にいい加減な話をプラスしてインタビューで話してしまい、市子はさらなる窮地に立たされる。
職場を追われ、婚約破棄となり、これまで誠実に正直に築き上げてきたものがすべて崩れ去ってしまった。
なぜ自分がこんな目に。
なぜ基子はあんなことを。
なぜ、なぜ、なぜ……。
やがて市子は偽名を使い、復讐を誓う。
というお話。
この復讐を誓う前と後のシーンが交互に描かれるので、そういうのが苦手な人はしんどいかもね。
とりあえず重いよ、とても。
でもすごく見ごたえがあって、面白かった。
基子はね、ニートでたぶん家族ともイマイチうまくいってなくて、
でも祖母の訪問看護のためにやってくる市子と出会って、
介護を勉強しようと思ったのね。
市子を尊敬してるし、市子を頼りにしてるし、市子がただひとりの心の拠り所だった。
でもたぶん、それ以上の、恋愛感情のようなものもあって、だから市子が結婚することを知ってショックで。
なんか、自分のものを人に取られたようなね。
だから記者に犯人が市子の甥ってことをリークした。
それで市子は婚約者とダメになって、気持ちも弱って、自分だけを頼りにすると思ったのね。
でも市子の婚約者は、「言ってほしかった」と言いつつ市子を許した。
基子の嫉妬は激しくなり、ついに市子と甥の過去をインタビューで言ってしまう。
しかも、市子がさらに窮地に陥るような嘘を交えて。
市子にとって困ることは、すべてが嘘ではないってこと。
「まったくのデタラメです!」って言うことができれば、まだなんとかなったのかもしれないけど、そう言えない。
「私は恥ずべきことは何もしていません」としか言えない。
結局、仕事も愛する人も失って、生きて行く気力もなくなってしまう中で、基子に復讐しようと決める。
ただねー、その復讐がねー。
めっちゃささやかな復讐やねん。
基子の彼氏と寝て、その写真を基子に送り付けること。
それだけ!?みたいな。笑
市子はめっちゃいい人で、まじめで、まっすぐな人だから、
基子を社会的に陥れるとか、もっと直接的に殺すとか、そういうことは考えつかないのかダメと思ったのか。
でもそのささやかな復讐さえ無駄なことやったと分かった時の市子の喪失感といったら。
市子の大笑いが切なかったなー
でも気になるのは、偽名を使って彼氏に近づいたのに、最後に彼氏が「市子さん」って呼びかけたこと。
どこから気付いてたんやろう。
過去に基子から聞いて思い出したんかな。
市子の状況や気持ちや目的も気付いてたんかな。
彼氏は彼氏で、何か暗いものを抱えていそうな感じだったな。
基子が実はずっと前から好きな人がいたと言われて別れていたから、
彼氏にとっても市子と過ごした時間は救いだったのかもね。
最後に介護福祉士になった基子を見掛けた市子の気持ち。
複雑やったやろうな。
憎い気持ちと、親のような気持と、これからってことへの羨ましい気持ちがないまぜになって、
その気持ちが発散されてのあの行動なのかな。
少しでも市子に幸せが訪れるといいなと願わずにはいられません。