大好きな作家さんのお話ですが、今回は男性が主人公。

沖縄の離島にひとりで住む明青の生活を描いたお話です。

 

幼い頃に父親が亡くなり、母親が出て行き、祖母に育てられた明青。

祖母が亡くなってからはひとりで雑貨屋を営みながら、毎日変わらない淡々とした日々を送っていた。

朝起きてラブラドルレトリバーのカフーを散歩に連れて行き、

店を開けて中休みを挟んで店を閉め、

カフーとまた散歩に行き、

裏に住むおばあ(祖母ではないが、子供の頃からお世話になっているおばあちゃん)と夕食をとり、

帰ってゆっくりひとり酒なんぞ飲んで寝るという生活。

変わり映えもしないが、不満もない毎日だった。

 

そんなある日、旅先の神社で明青が書いた絵馬の言葉「嫁にこないか」を見たという女性から、お嫁にもらってほしいという手紙が届く。

いたずらなのか、それとも本当に誰か来るのか、来るならどんな人なのか、明青は落ち着かない。

 

明青がただのいたずらだったのだろうと思った矢先、幸と名乗る女性がやってきた。

幸は多くは語らず、明青も聞き出すことはせず、それでも沖縄についての話をたくさんしたり、裏のおばあと仲良くなったりと、

明青の生活に幸は馴染んでいった。

 

一方、島にはリゾート開発計画が持ち上がる。

少ない反対派のひとりに明青や裏のおばあもいたが、いろんな事情や思惑が重なり、明青と幸は翻弄される。

 

というお話です。

随所に出てくる沖縄言葉や風景、そして明青ののんびりとした生活が心地よいです。

明青が今まで辛い思いをしてきたのは事実だけど、

それを支えてくれてたのは友人や裏のおばあで、

明青が翻弄されることになったのも友人や裏のおばあの影響もあるんだけど、

これから明青がどんな風に自分の道を歩いていくのか、ちょっと楽しみになるような、そんなお話でした。