埼玉教員超勤訴訟のポイントは、「職員会議の位置づけの変化」である

埼玉教員超勤訴訟以前にも、公立学校教員の残業代請求を求める裁判は起こされてきた。しかし結果は多くの裁判で教員の残業は「自発的」であると、裁判所に判断されてきた歴史がある。

しかし、これまでの裁判と今回の埼玉超勤訴訟の大きな違いは、今回は「職員会議の位置づけ」が変わった後に起こされた裁判なのである。

◆「職員会議の位置づけ」が変わった

2000年、学校教育法の改正で施行規則48条で、職員会議の位置付けが変わった。

1.小学校には、設置者の定めるところにより、校長の職務の円滑な執行に資するため、職員会議を置くことができる。
2.職員会議は、校長が主宰する。

この学校教育法改正で、職員会議から“協議性”が消えた。

それまでの職員室は多数決により物事を決定していた。しかし、この改正により、多数決は禁止、校長による決定が可能になったのだ。

◆職員会議を経た業務には、校長による業務命令の性質があるのか?

「職員会議の位置づけ」が変わる前、教員の残業が「自発的」と裁判所に判断されたその根拠は、職員会議の”協議性”だった。

職員の多数決で決めているので、職員の自発性があったという論理である。

しかし、今は「職員会議の位置づけ」が変わり、もはやここに”協議性”はない。

当然、原告先生の主張にもこの点が盛り込まれている。

原告の業務の多くは、職員会議を経て決定された業務である(中略)。職員会議によって決定された事項は、教職員間の協議に基づき、各教職員が自主的に協力するという性質のものではなく、校長が自らの権限と責任において決定した、校長による業務命令の性質を有している。(第6回原告準備書面)

(”協議性”のない職員会議を経た)校長による業務命令であるから、教員の残業は「自発的」なのではない、というのが原告先生の主張である。

そこを裁判所がどう判断するか。

この点が、この裁判の大きなポイントの一つなのである。

そのあたりの詳しい話については、先日、直接原告先生に聞いてきたので、こちらをご覧いただければと思う。

次回第7回公判は、2月21日(金)10:30~さいたま地裁C105法廷とのこと。

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