日常 カレー&スイーツ【南欧のテラス気分でカレーを楽しめる】2020カレー116軒234食目
2010.6.24

■日常のダブル ¥950
▶︎プレートセット ¥150
■日常のアフォガード ¥350
●コーヒー ¥350

以前から、田無の住宅街にちょっと上品なカレー屋さんがポツリと存在しているのを知っていた。それで、コロナ初期に訪ねたら、子供の休校で暫くお休みすると表示されていた。あれから3ヶ月経って、世間が少しずつ動き始めているところに訪れたら、営業中の様子だった。

田無の街をご存知ない人が殆どだと思うけど、西武線沿線と言えばだいたい想像がつくと思う。ありきたりを絵にしたような郊外の街だ。庶民的で、駅の北側は西武鉄道系列のショッピングビルがあって周りをチェーン店の類が軒を並べ、南側は若干綻びかかった店が多く、3〜4分も歩けば街の喧騒はなくなる。西に向かって歩いて、その喧騒が完全になくなった静かな住宅街に日常はある。


扉を開けてみると、小さな美術館のような田無とは思えぬオシャレ感で、ロフト風の内装だ。田無の街風情からしたら、店は日常なのだけど、店内は非日常の様相を呈している。

テーブルが3つと2〜3人のカウンターひとつ。シェフ1人と店員さん1人でとり仕切る小規模の厨房から店内のほぼ全体が見えるようだ。隅々まで清潔感が漂う。

メニューを見ると2つの特徴を読み取れる。

イタリアンの要素が随所に見えて、ココナッツやサルサといった異なる要素を融合させている様子。このお上品さでこの内容は面白い。全部食べたいのだけど胃袋は一つしか持ち合わせがないので、2つのカレーのあいがけとなっている「日常のダブル」を注文した。

日常のダブルは、「日常のチキンカレー」と「日常のドライキーマ」があい盛りになっている。



日常のチキンカレー
日常のチキンカレーは、鶏肉、玉ねぎ、トマトの旨みを最大限に活かした日常の定番カレーというのだけど、イタリアン出身と見えるシェフだけにトマトの旨味の引き出し方がとても上手で、こういう欧風カレーもあるんだなと楽しめる。昨今スパイスカレーやらスリランカとか南インドとか大流行なのだけど、欧風カレーだってまだまだ研究の余地はあるのだと再発見する。

ドライキーマ
ドライキーマは言葉通りにしっかりドライだ。水分の一滴も残さぬぞという気合いすら感じるドライぶりで、匙に取ろうとするとご飯の上からポロリと崩れ落ちて、きっとシェフは物事にしっかり白黒つける人なのだろうと窺われた。狙いどころがはっきり見えるだけに気分よくいただける。ココナッツの香りが聞いていて、アドリア海に陽の注ぐ風景が似合いそうだ。

プレートセットという付け合わせはもう完全にイタリアンのサラダと言っていい。


メニューを見ながら、デザートが気になった。「日常のアフォガード」なるものがある。

日常のオリジナルドルチェ、マンゴーシャーベットにはちみつラッシーと記されている。聞けば、アフォガードは一般にアイスクリームにエスプレッソをかけたものだけど、当店オリジナルでマンゴーシャーベットにはちみつラッシーをかけたのだとメニューの記載通りであることを再確認できた。そもそもアフォガードは溺れさせるという意味があるそうだ。シェフ、間違いなくイタリアン出身ですな。それで注文する。

マンゴーシャーベットか2玉入っていて大サービス!

おじさんにはちょっと多いのだけど、女性の別腹にはベストマッチだろう。そこにはちみつラッシーを注いでシャーベットが溺れていく。楽しい。

もちろん、美味しい。

実に上品で興味深い店だ。南欧の陽射しの漏れ注ぐテラスを楽しんでいるような気分にさせてくれる。そして美味しい。そんなカレー屋さんが、まさかの田無の住宅街に潜んでいたというのが発見なのだった。
また来たい。女性をお誘いするのにおすすめですぞ。

めでたしめでたし