拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

私が暮らす場所

あなたへ

 

凄く綺麗だね

どこで撮ったの?

 

これは、昨夜のあの子から届いたメッセージです。

 

昨日撮った写真を、早速あの子に送ったらね、驚いていましたよ。

こんな場所があったんだねって。

 

私が暮らすこの辺りは、

何もない場所なのだと、ずっとそう思っていました。

でも、本当はそうではないのかも知れないなって、

昨夜の私は、

あの子からのメッセージを眺めながら、考えていました。

 

何もない場所のように思えても、

実は、季節限定の景色が隠れていたり、

その時間帯でなければ見ることの出来ない景色が隠れていたり。

 

ほんの少しだけ視点を変えてみるだけで、

そこにしかない素敵なものは、そこら中に隠れていて。

 

何もない場所なんて、本当はないのかも知れませんね。

 

昨年の私が初めて、

桜の木が並んだ土手の上をいつもよりも遠くまで歩いたことで、

次の桜の季節になったら、

見てみたい場所を見つけることが出来たように、

そして、いつかのあなたが見せてくれた朝の景色を、

それまでの私が知らなかったように、

どんなに長く暮らした場所であっても、

その全部を知ることなど出来なければ、

ある年齢に達してからでないと、

見えない景色というものも、きっとあるのでしょう。

 

幼い頃から当たり前に暮らして来たこの地に対して、

好きかどうかだなんて、考えたこともありませんでしたが、

私は、とても素敵な場所に暮らしているんだなって、

この地が好きかも知れないなって、

昨日の私は、初めてこんな気持ちを見つけました。

 

きっと、この辺りには、まだまだ私の知らない素敵な場所が、

たくさん隠れているのでしょう。

 

私はこの地で、あと幾つくらい、

素敵な景色を見つけることが出来るでしょうか。

 

あなたにも見せてあげたい素敵な景色を、

もっとたくさん集めることが出来たのなら、

私は、この地をもっと好きになることが出来るのかも知れませんね。

 

 

 

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桜の木が並んだ土手の上 -2024-

あなたへ

 

長い修理期間を経て、先日、漸く車が戻って来ました。

やはり、自分の車は良いものですね。

 

いつの間にか、自分にとって、

しっくりと来るようになっていた運転席に満足しながら、

今日の私は、久し振りにお出掛けをしました。

 

行き先は、桜の木が並んだ土手の上です。

 

先日の私は、あの辺りの桜たちが満開を迎えるのも、あと少しだと、

こんな手紙を書きましたが、

あれから間も無くに満開を迎えました。

 

既に散り始めを迎えていますが、まだまだ見頃。

ピンク色の景色も、風に乗ってヒラヒラと舞う花びらも、

とても綺麗でした。

 

自分のペースで、のんびりと歩きながら思い出していたのは、

あの子の笑顔ばかりがたくさん詰まった、昨年の春の始まりでした。

毎日、バタバタと過ごしていたけれど、本当に楽しかったなって。

 

昨年の私には、

のんびりと、桜の景色を楽しむ時間などなかったけれど、

本当に、特別な春の始まりでした。

 

あれから次の桜の季節を迎え、

またのんびりと桜の景色を楽しむ時間がやって来たのだと、

あれからの時間の経過を、改めて感じました。

 

今日のこちらでは、綺麗な青空が広がり、

とても暖かく、お花見日和でした。

ピンク色に染まった土手の上は、とても賑やかでしたよ。

 

家族連れやご夫婦。

それぞれに桜の景色を楽しむ人たちを眺めれば、

もしもあの夏の運命が違っていたらと、

見ることの出来なかった景色を思い描いてしまった私ですが、

僅かに俯けば、

何故だか、ふわりと暖かな風が私を包み込んで。

 

ねぇ、あなた。

大丈夫よ。

私はもう、泣いたりはしないから。

 

本当は、あなたと一緒に歩きたかったあの場所で、

今年の私は、密かに持っていた小さな夢をひとつ、

叶えることが出来ました。

 

ピンク色と黄色の組み合わせは、やっぱりとても素敵。

 

あなたにも見せてあげたかった景色を、

またひとつ、大切に集めることが出来ました。

 

 

 

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社会人2年目

あなたへ


今日で巣立つ実感が湧かないよねと、
あの子と一緒に笑った時間。


私の腕の中を、
綺麗な花でいっぱいに埋め尽くしたあの子の笑顔。


電車のドアが閉まる音と、
車内から、笑顔で手を振り続けてくれたあの子の姿。


こうして思い出してみても、あの日にいたあの子は、
ただただ愛おしいという感情を、
この胸いっぱいに甦らせてくれました。


あれから数日後に、
あの子は立派な社会人になりました。


あの子の入社式の日にはね、密かに思いました。
あの子の晴れ姿を見ることは、もう出来ないんだなって。


入園式や入学式。そして、卒園式や卒業式。
あの子の成長の節目には、必ずその晴れ姿を見守ってきましたが、
あの子に流れる時間を、遠くから想像してみることへと変わり、
これから始まる社会人生活が、
あの子にとって、素敵な時間でありますようにと願いながら、
これが子育てを終えるということなんだなって、
あの日の私は改めて、
あの子は此処から巣立ち、大人になったのだと実感したのでした。

巣立ったばかりだった頃には毎日掛かってきていた電話も、
数日おき、数週間おきへと少しずつ間が開くようになり、
心細そうだったあの子の声も、
いつしか、
安否確認です
なんて、私を気遣う声へと変わって行きました。


その度に聞こえて来たのは、やる気に満ちたあの子の声でした。


あの子の声に耳を傾ける時間は、
私にとっての楽しみのひとつでもあり、
そして、元気を分けて貰える掛け替えのない時間です。

沈んだあの子の声が聞こえた日には、
すぐ側に寄り添ってあげられたらと、
あの子との距離にもどかしさを感じたりもしましたが、
あれから先のあの子は、驚くほどに大きな成長を見せてくれて。
一段と、強く逞しく成長したあの子の声に、驚きながらも感じたのでした。
あの子なら、きっとこの先も、ずっと大丈夫だと。


前回の電話では、
やってみたかった仕事を任せてもらえることになったと、
こんなあの子の弾んだ声が聞こえました。


此処から巣立ったあの子は、
自分が選んだ道を、本当に力強く、
そして、楽しみながら歩み続けています。

今日のこちらでは、雨が降りました。


降り続く雨を見つめながら、
今日の私は、
あの子が巣立ってからこれまでのことを思い出していました。


社会人2年目を迎え、あの子にも後輩が出来たそうですよ。

ねぇ、あなた。
此処から巣立ったあの子は、
本当に大きな成長を見せ続けてくれましたね。


社会人2年目のあの子はどんな成長を見せてくれるのでしょうか。
とても楽しみですね。

 

 

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