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2018.05.16
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カテゴリ:カテゴリ未分類
その人の名前は、腰山一生(こしやま いっせい)と言います。

今の若い人たちは知らない方も多いと思いますが、40代以上の業界関係者、

放送作家で、この名前を知らない人は、あまりいないのではないでしょうか。

ジャンルを問わず、凄まじい数のテレビ・ラジオ番組を手掛けられた方です。

伝説の番組『テレビ探偵団』も、腰山さんが作りました。

2014年までTBSで放送していた『はままるマーケット』も立ち上げました。

僕が20年にわたってお世話になった古舘プロジェクトは、放送作家集団です。

96年、僕が若手作家として事務所に入った時、腰山さんはその長でした。

最初の印象は、とにかく口うるさい人。

若手作家の仕事の一つに、朝、事務所で腰山さんの電話を受け、番組視聴率を

お伝えするというのがありました。

矢継ぎ早に「この番組は?」「この番組は?」と飛んでくる質問に対して

素早く的確に答えないと、すぐにお叱りの声が受話器の向こうから飛んできます。

テレビ局を渡り歩くように1日を過ごしていた、腰山さんへのお使いも

若手作家の仕事です。僕は20歳まで千葉県外房のド田舎に住んでいたので

東京の地理(特に電車、地下鉄)に明るくなく、度々遅れては、よくお叱りを

受けていました。

繰り返します。ホントに口うるさい人でした。

そんな腰山さんが立ち上げたTBSラジオの番組がありました。

ラグビー界不世出の天才・松尾雄治さんのお昼のワイド番組

『松尾雄治のピテカンワイド』です。

※ピテカンはピテカントロプスから取っています。
 松尾さんの風貌から、お察し頂ければ幸いです。

この番組に僕も入れて頂きました。

これは、沢山の方が口をそろえておっしゃることですが、

腰山さんは、『人と人を出会わせる天才』でした。

この番組がなければ、僕は松尾さんと出会うことは、おそらくなかったでしょう。

番組立ち上げ当初、番組は少しギクシャクしていました。

メインの松尾さんは、ご存じの通り、いったん喋り出すと止まらない、

下ネタ大好きなエロおやじ。

対して、アシスタントの清原さんはどうにも下ネタが苦手…。

そんな清原さんに声をかけたのが腰山さんでした。

どんな言葉をかけたのか、僕には知る由もありませんが、

うまく清原さんのやる気を引き出し、2人のバランスを取っていました。

この辺りは、まさに“腰山マジック”という他ありません。

聴取率も少しずつ上がっていきました。

そんな矢先、腰山さんが体調を崩しました。

どんなに大御所になろうと、テレビやラジオの現場が大好きだった腰山さんが

休みがちになり、ついに入院してしまいました。

そんな中、プロ野球、巨人の取材で松尾さんが宮崎に行くことになりました。

腰山さんが元気であれば、松尾さんと帯同するのは、もちろん腰山さんです。

そんな大役を、若手作家の僕が任されることになりました。

出発日前日の夜、僕の携帯が鳴りました。

腰山さんでした。

うわーまた何か色々言われるのかな…、叱られるのかな…、そう思っていると。

腰山さんは「頼んだぞ」とだけ言いました。

やけに声に元気がなかったなあ…

当時の僕は、腰山さんの病状の深刻さを分かっておらず、

そんな風にのんきに思っていたのでした。

結局、腰山さんが番組に帰ってくることはありませんでした。

とにかく人付き合いのいい人で、スタッフとの飲み会にも最後まで

とことん付き合い、明け方に帰宅すると、録画しておいた担当番組を

見ながらソファで寝てしまう。

そんな生活が、腰山さんの体を少しずつ蝕んでいったのではないかと思います。

2001年1月、腰山さんはこの世を去りました。

21世紀までは何としても生きてやる、そんな思いもあったのでしょう。

その日も、ピテカンワイドのオンエアはありました。

番組のエンディング、松尾さんは殊更明るく「あばよーー!」と言い、

清原さんは目を真っ赤にして泣いていました。

そこに至り、ようやくあの日の電話の凄まじさが分かった気がしました。

その時、すでに自分の体のことは分かっていたのだと思います。

治療だけに専念すればいいのに。

番組が気になって、松尾さんが気になって、

病床から僕に電話をかけてくれたのです。

『命をかけて』とは軽々しく使う言葉ではありませんが、

この時の腰山さんにこそ、ふさわしいと、つくづく思いました。


怒ると怖い人でしたが、周りを幸せにする笑顔の持ち主でした。

お墓参りに行ったという、元後輩のSNSの書き込みを見て、

ふと書いてみたくなりました。





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最終更新日  2018.05.17 12:54:25
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