最後の時をどう過ごすか
数年前から時々ご相談に来られている恵子(仮名)さんのことです。
恵子さんから同じ悩みがある人にも知ってもらいたいと、そしてこれまでの経過をブログに綴って欲しいという事で記載します。
恵子さんは現在45歳です。
恵子さんの家族構成は、姑と義姉、そして恵子さんの三人暮らし。
恵子さんの住んでいる家は、実家とは別の所にご主人が建てた家です。
恵子さんのご主人は十数年前に亡くなりました。
その後、ご主人の実家で独り暮らしをして居た姑が、恵子さんの薦めもあって、恵子さんの家に引っ越して同居するようになりました。
ご主人の実家は姑さんが居なくなってからは、手入れが行き届かなくて朽ち果てたようになってしまい、人が住めるような状態ではなくなってしまいました。
現在、姑さんは80歳になりディサービスを利用しています。
恵子さんはご主人が残してくれた貯金と生命保険金と、少しばかりのパートの収入で家計をやりくりしていました。
そんな恵子さんの家に、二年前に夫婦仲が悪くて離婚した、義姉が転がり込んできたのです。義姉は離婚しても生活力が無く、戻る実家も朽ち果てていて、仕方なく、実母の居る恵子さんの家に転がり込んできたのです。
これは恵子さんの薦めもあってのことでした。恵子さんはいわゆる【化科・化禄】系で困っている人を放って置けないのです。
義姉も姑さんも性格は【化権】タイプで、どちらも夫婦仲は悪かったのです。
義姉には結婚している一人息子が居ますが、やはり親子の仲が悪くて行き来があまりありません。息子にしてみると母親の性格が気に入らないのでしょう。
恵子さんの家に義姉が転がり込むまでは、姑と二人で比較的穏やかな日々を過ごしていました。
しかし、義姉が同居するようになって一変しました。
毎日が義姉と姑の口論の日々で恵子さんはストレスを募らせていったのです。
義姉は性格が元々激しい人ですから会社務めも思うように成らなかったようで、収入も安定していませんでした。
恵子さんにとっては、義姉と姑の生活を支えるのは大変でした。多少は義姉も金銭を入れてはくれていたようですが足りるものでは無かったようです。
それなのに義姉は風呂も電気も使い放題の状態で、恵子さんとしては困っていたけれど、とても義姉にお願いなど出来る状態ではなかったようです。
そんな義姉に昨年、乳癌が発見されました。しかし、すでにステージは3までになっていて、急遽乳房切除手術を行いましたが、半年後には腰の骨への転移、そして脳や肝臓へと次々と転移して行きました。
手術後しばらくはパートの仕事に行っていましたが、今年に入ってからは容体が優れなく自宅療養をしていました。
腫瘍に伴う痛みのために夜中でも、恵子さんに身体を摩って欲しいと言って来るので、恵子さんは夜中に起きだして朝方まで摩ってあげることもしばしばだったそうです。
恵子さんはパートの仕事は有るけれど、断ることは出来ないのでじっと耐えて来たようです。
姑は実の娘が余生幾ばくも無いのに、互いに自分の我を通すことが精いっぱいで、朝から夜まで暇さえあれば怒鳴り合いの日々だったようです。
そしてつい最近、義姉の容体が急変し救急で掛かりつけの病院に入院することに成ったのです。医師の診断は「いつまで持つか判らない」というものです。
恵子さんは義姉のことでも私の処には相談に来ていました。
姑さんや義姉、その息子、そして恵子さんの命盤は既に作成して在って、恵子さんには今後の推移は伝えてありましたが、末期に成っても怒鳴り合う二人のことで悩んでいました。
怒鳴り合う原因は、大した理由では無いのです。
義姉は実母のやること成すこと全て気に入らないのです。
姑は娘のひとこと一言に腹が立つのです。
まるで「犬猿の仲」そのままです。
恵子さんの話によると、義姉は幼少期から両親に虐待されて来たそうです。
ただ性格が強い義姉だから打たれ強く徹底的に親に歯向かって来たようです。
そういう意味では、死ぬまで互いに徹底抗戦なのかも知れません。
義姉も姑も命盤を観ると、人の事より自分の事を第一優先するタイプで、特に義姉は損得勘定が徹底しているタイプで、他人を平気で犠牲に出来るタイプでした。
そのために人に対して寛容な恵子さんは、義姉に徹底的に踏み台にされて疲弊してしまう組み合わせとなっていました。
私は恵子さんに、自身の身を守るためにも、義姉からの不人情な注文や攻撃には、拒否する能力を身に着ける必要があると説いて来ました。
【化科】タイプの人は【化権】タイプの人に抵抗するのは非常に厳しいですが、このままではトコトン身を削られてしまいます。
ある時に義姉は、「あんたが犠牲に成ればいいのよ」と恵子さんに言い放ったことがありました。恵子さんは驚きのあまりにしばらく呆然としたそうです。
そのことで恵子さんは「私はこれから、どうして行ったらいいの」と相談に来られました。
恵子さん自身の生活も収入が多い訳では無いので大変です。姑の世話もして行かなければ成りません。しかし、義姉の世話でへとへとになってしまっています。
実は恵子さんには生まれつきの難病が有り、その病気の影響で身体は丈夫ではなく、常に血液検査とホルモン剤を服用し続けなければなりません。ストレスや過労も大敵です。下手をすると寿命まで縮めてしまいます。
元々ハンディを持って生まれている人に、さらに追い打ちをかけるように試練が覆いかぶさる。こういうことは、この仕事をしていると多いのだなあって、つくづく痛感させられます。
義姉には結婚している一人息子が居ますが、親子仲が悪くて行き来が無いとのことです。
しかし、そんなことは言って居られません。
実の母親が末期癌で余生幾ばくも無い状態です。
私は、義姉の実の息子に関わって貰うように連絡すべきと言いました。
そして実の息子に連絡をしたら、「俺は自分の生活が有るから、それどころではない」と言って来たそうです。
その息子夫婦には子供は無く、夫婦共働きでそこそこの高収入世帯とのこと。
それなら、なおさら関わって貰わなくてはと恵子さんに伝えて、再度交渉した結果は、その息子が怒鳴ってきたそうです。
恵子さんに義姉を「看る気が有るのか、無いのか?」と。
恵子さんは事情を説明したそうですが、断れなくて今も義姉と姑の面倒を一人で看ています。
そして義姉の息子は知らん顔だそうです。
このようなことがまかり通るのですね。
多分、義姉の葬儀も恵子さんが執り行うことに成るかも知れません。
シナリオはそう成っていますが。
ここでシナリオを変えるのには、恵子さんの強い意志が必要です。
そうしないと、自分が犠牲になってしまいます。
どうすれば良いのか、という結論は見いだせます。
しかし、それが出来る人と、出来ない人に分かれます。
ここが、人生の分かれ目で、運勢の良し悪しを決めて、シナリオまでも決めていると感じました。
そして、終末の時まで怒鳴り合う義姉と姑、この二人も可哀そうな人たちです。