進化しつづけるタイ鮨の世界「鮨すがひさ」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

タイ鮨という飛び道具と、その飄々とした風貌とトークから、鮨界の異端児的な存在になりつつある鮨すがひさの菅正博さん。
そんな彼のおりなすタイ鮨は、鮨がアメリカに渡ってカリフォルニアロール等のハリウッド系の巻きずしへと進化したように、タイ料理とのコラボレーションによって、鮨を新たなベクトルへと方向づけ、さらなる進化を促そうとしている。
なお、こちらのお店でのタイ鮨は、店にタイ料理の香りが付くため開催数が月に1、2回と限定されていることもあり、常連(?)のみで予約が埋まってしまっている。
しかも、以前はテーブル席までフルに使っての貸切開催だったが、色々なオペレーションやクオリティーを上げるため、現在はカウンター8席のみでの開催となっており、ますます彼のタイ鮨をいただける機会は減ってしまっている。
そんな彼のタイ鮨を9月某日いただいてきた。
なお、今回はあえて味の詳細は書かない。
料理名からどういった味なのか想像してもらいたい。

先ずは、シマエビの塩辛ヤムウンセン。
ほらほら、早速タイの香りが。

続いて八寸替わりに5品が一皿に乗せて出される。
「松茸風味の青パパイヤ」
「納豆とクミンの細巻き」
「アジのエスニックなめろう」
「イクラの醤油漬けレモングラス風味」
「花山椒と銀杏」
パパイヤに松茸というのがまた面白い。サラダ感覚だ。
納豆とクミンの組み合わせが、こんな風になるなんて驚きだ。
アジをこの方向でエスニック風にするのもアリだな。
普通のイクラかと思ったら、爽やかなレモングラスの香りが!
銀杏、塩だけでなく、こうやっていただくのもいいな。

料理は、続く。
「シメサバの生春巻き」
米粉から作られているから、これもある意味鮨になるのだろうか?
「鰹のタタキ香辛子ソース」
辛さはあるけど、それほど強く無く、香りのための辛さ。
「菊とパクチーのエスニックロカボ麺」
菊とパクチーの組み合わせの妙
「タイ風津本式穴子の蒲焼き」
あの津本式の血抜きが行われた穴子。旨くないわけがない!

ここから握りが始まる。

「ホタテのライム締め」
「イワシとアボカド茗荷」
「ヒメコダイとタマリンド」
「タチウオのナンプラー漬け」
「トムヤム鬼エビ」
「大トロのスイートチリ山葵」

凄い。普通の寿司だと比較的単調な香りとなってしまうのだが、それぞれの魚の味と香りを引き立てるために香辛料や薬味が用いられている。
そのため、従来の鮨では表現できなかった、魚の表情を見ることができる。

そして、もはや名物ともなった、「ドライグリーン稲荷」
ああ、これをお土産に持って帰りたい…

〆は、「シャリカレー」。
お腹いっぱいなのに、ついついお代わりしてしまう…

そして、「エスニック卵焼き」で終了。

毎回、新しいものを組み込み、またそれらの完成度も高い。
もっと高い食材を使えば、さらなる高みへと登れるのだろうが、この店が競うのは、そういった高級店ではないと思う。
今しばらくは、現状の食材で色々と試行錯誤し、引き出しを増やし、タイ鮨という文化を広げていってもらいたい。

 

 

 

鮨 すがひさ寿司 / 武蔵溝ノ口駅溝の口駅梶が谷駅
夜総合点★★★★ 4.0