町寿司価格で高級寿司店の味と雰囲気を「すし玲」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

「鮨バブル」という言葉を最近良く聞く。
上質の魚介類の価格が高騰してしまい、最高の鮨を提供しようとすると、どうしても価格が高くなってしまい、結果3万円以上・・・場合によっては5万円以上という高額な料金を請求する店が増えてきた。
それはそれで仕方ないことだとは思うが、そういった傾向に反して、町寿司というのも見直されつつある。飲んで1万円ぐらいで、手軽に寿司をいただける店。普段使いには、ありがたい店だ。
そういった寿司屋の二極化が進む中、その中間というか、町寿司価格に近く、それでいて高級寿司店の雰囲気を味わえる・・・そんな店が、12月1日に骨董道り沿いにオープンした。
「すし玲」
日本酒かお茶のペアリング込み16500円と22000円(いずれも税サ込)という定額のコース。ハイボールやビールも頼めるが、それらもこの料金の中に入っている。
今回、正式オープンの前日に訪問させていただく機会を得た。

店の入り口には、こちらの大将である永井玲央也さんが16年修業されてた銀座の「鮨 辰巳」からの花が送られていた。修業先から、こうしてちゃんと花を贈られているのは、前の修業先でしっかり評価されていた証拠でもある。
ちなみに、大将の名前の玲央也は「れおや」と読むそうだ。37歳のイケメンである。
店内に入ると、先ず目につくのがお酒や器等の並んだカウンター。
ちなみに、こちらに置かれている器類は、販売可能なもの。
若手クリエイターによる作品を実際に展示し、料理にも用い、それも販売するといったクリエイター支援の場にもなっている。
カウンターは6席。これとは別に6名の個室もある。
カウンター奥の棚に飾られてる置物は、1.2センチの紙を折った鶴が1000羽以上用いられたオブジェだったりと凝ったもので、これも若手クリエイターによるもの。これは季節に応じて変えていくらしい。

今回は、税込16500円のコースをいただいた。
なお、日本酒は好みに応じて2種類のコースが用意されており、今回は龍力を中心とした日本酒のペアリングでお願いした。
日本酒のグラスも形の違うものが3種類置かれ、同じお酒でも飲み口による変化を楽しんでくださいと言う。これは、日本酒ファンとしては、嬉しい演出。
そして、料理をいただく。
最初に出てきたのは、牡蠣の煮物と枝豆。それぞれが、この店の工夫を凝らしているもので旨い。
鯖の刺身も角がピンとして美しく、ネタの良さが伺える。
茶碗蒸しは、イクラがトッピングされ、中にはタラの白子が。優しく、日本酒に寄り添う味だ。
つまみ類を10種類近くいただき、鮨をいただく。
どれも丁寧な仕事で、中トロのはがしの下にたくあんの千切りを入れ目葱を乗せて握ったものは、匠系列のスペシャリテ「おはぎ」をアレンジしたものか。これまた旨い。
イクラと雲丹のミニ丼の上にはレーザーカッターで美しくカットされた海苔が添えられている。
玉が出てきて終わりかと思ったら、その後に穴子も塩とツメの2種類が出される。
通常、どちらか一方だろうが、こうして最初から2種類出してもらえると、いちいち悩む必要もない。
さらには、お椀がでてきてこれで終わりだろうと思ったら、いなり寿司も出て来た。
しっかり目の味付けで、これはお土産にもできるとのこと。
結局鮨も10貫ほど出てきた。ボリューム的にも十分である。
使い勝手の良い店が出来て喜ばしいことだが、ここもまた予約の取れない店になってしまうのではないかと思うと、紹介したくないような、そんな気持ちにもなってしまう(笑)

 

 

 

 

すし玲寿司 / 表参道駅外苑前駅明治神宮前駅
夜総合点★★★★ 4.5