5月にcocoさんのWEB試写会で観てコメント書き損ねていた作品。
ちょこっとあらすじ
優等生の黒人高校生の正体をめぐり、周囲の人々の思惑が交錯する。
文武両道に長けた17歳の黒人少年ルース(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は、戦争中の母国から裕福な白人の養父母ピーター(ティム・ロス)とエイミー(ナオミ・ワッツ)に引き取られ、バージニア州アーリントンの高校に通っている。
ある日、ルースは課題のことでアフリカ系の女性教師ウィルソン(オクタヴィア・スペンサー)と対立する。
ウィルソンは、ルースが過激な思想を持っているのではないかと考えていた。(シネマトゥデイより)
感想
本作を一言で言うと…
公式サイトから抜粋
深刻な矛盾をはらんだアメリカ社会の現状をリアルにえぐり出し、謎のベールに覆われた人間という存在の本質に鋭く切り込んだヒューマン・ドラマである。模範的な若者として学校や地域の誰からも愛され、称賛される少年の“知られざる真実”をめぐって展開するサスペンスフルなストーリーは、観る者の好奇心をかき立てるにとどまらず、私たちの内なる潜在意識を揺さぶり、先入観を根底から覆していく。
三浦春馬を発端とした様々なことに触れ、本作のことが頭によぎった。
いろいろな闇…
5月に観たので思い出したながら、作品を振り返ってみたいと思います。
主人公のルース・エドガーはスポーツ万能で成績優秀、誰にでも分け隔てなく優しく、絵に書いたような模範的な優等生。
彼はアフリカ系の孤児で、リベラルな家庭に養子として引き取られていた。
彼は期待に応えようとして、模範的な生徒、良い息子を演じている。
素の自分と、周りから求められている自分。プライベートイメージとパブリックイメージ、2つのアイデンティティの葛藤。
果たして、彼はホントに英雄なのか?
あることがきっかけでおこる黒人の女性教師との対立…
その黒人女教師は固定観念でガチガチ、教育熱心な反面、生徒たちにレッテルを貼る傾向があり、彼らを従わせて自分の政治的な主張に利用している。自分に従わない生徒を敵視する。これでもかってぐらい攻撃する。それは自身も黒人で、女性で、多分虐げられてきて、それにいろいろ問題を抱えながら、でもここまでの地位についた。それを壊されたくない一心からだ。
『僕に与えられた役は“悲劇を乗り越えた黒人”で“アメリカの良心の象徴”なんだ。責任を感じて重荷だよ』主人公の言葉。
黒人はそうでない人の何倍も努力しないと同等に評価されない。
聖人でなければ怪物なのだ。
主人公を全否定しようとする、女教師。
ハメられた…?
いや、ハメた…?
ルース、父、母、教師たち…緊迫の心理戦
最近も白人警官が黒人を不当に銃で撃って暴動が起きていたのが記憶に新しいが、本作も人種、移民、性別、階級、学歴、思想、信仰など…アメリカの抱える深い、根強い闇みたいなものが詰め込まれいる。
本作は単純に黒人差別だけではないが、公民権運動から半世紀以上が経っても、まだまだ黒人差別は根強く残っている。
ステレオタイプに押し込むのは簡単だ。
でも危ない。
アメリカの理想と現実。
本作のように、どんな手を使っても、周りを巻き込んでも、自分を守って欲しかった。三浦春馬
2020.5. WEB試写会