あ「スサノオさん」
あ「これだけコロナウィルスが、
猛威を振るっている中、
思うのですが、
コロナウィルスを始めとした、
細菌の神さまなどは、
いらっしゃるのでしょうか?」
ス「………」
…僕がその質問を、
スサノオさんに発すると、
突然スサノオさんの表情に、
緊張が走った。
ス「………。
…おるにはおる…」
『おるにはおる』?
一体何なのだろうか、
その含みのある言い方は…。
あ「差し支えなければ、
教えて頂けたりしますでしょうか…」
ス「細菌や微生物を司る神…。
その名は、
『ウマシアシカビヒコジ』…」
あ「ウマシアシカビヒコジ…。
ってあの、
天地が開かれて、
造化三神が現れた後に出てきた、
4番目の神さま、
ですか…?」
ス「…あぁ。
天の神、
『天つ神』よりも、
さらに上位に存在する、
『別天つ神』…。
この星や宇宙の、
あらましを司る神や。
『ウマシアシカビヒコジ』…。
この名を聞いて、
何かピンとけーへんか?」
あ「ウマシ、アシカビ…。
あ…!
『カビ』!!」
ス「そうや。
天地が生まれ、
そしてまだこの地上世界が、
水に浮かぶ脂のようで、
クラゲのように混沌と漂っていたときに、
葦が芽を吹くように萌え伸びるものによって、
成った神とされている。
この星の生命や、
自然を育んできたものの始まりは、
実は、
微生物やった。
所謂今でいう、
細菌やウィルス、
そういった類のものも含めて、
すべて、な…」
あ「た、例えば、
その神さまに祈りを捧げれば、
このコロナ騒動を何とかしてくれる、
とかは…!?」
僕のその言葉に、
スサノオさんが厳しい口調で、
言う。
ス「それはお前ら、
人間の都合やろ。
悪いけど、
今回のコロナ騒動は、
君ら人間にとっては、
都合の悪いことやけど、
この地球という星、
全体で見た時には、
一概に悪いこととは言えない。
経済活動がストップして、
地球環境が良くなっているというニュースは、
お前も聞いたことあるやろ?」
ス「ウマシアシカビヒコジが動く時、
それはこの星が、
大きく動く時。
今はそれしか言われへん。
別天つ神がやることというのは、
時に俺たち、
この地球の神ですら、
どうしようも出来ないほどの、
変革を起こす時なんや」
あ「そんな…」
ス「ただ、
ウマシアシカビヒコジが今、
伝えようとしていることは、
俺も何となくわからんことでもない。
それを伝えることは、
しようやないか。
ただそれをどう解釈して、
どう動くかは、
君ら人間次第である、
ということは忘れたらあかんで」