自己満足的電脳空間

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イチローさん引退試合について

2019-04-26 00:05:00 | 野球、その他スポーツの話
結果としてイチローさんの引退試合となった3月21日のOAK戦@東京ドーム。この試合に関して一部金儲けの道化に過ぎないなど一部から批判があったが、非常に的を得た反論記事があったので、記事を全文引用した。





ネットが大炎上したお笑いタレント、ダンカンのブログ発言(後で撤回)に代表されるように一部のファンの間では感動的なマリナーズ、イチロー(45)の東京ドームでの“引き際”がマリナーズのビジネス優先の“引退興行”だったのではないか、という批判的な疑念がある。だが、答えはノー。大きな誤解だ。

 そもそも今回の東京ドームでのアスレチックス対マリナーズの2試合は、マリナーズではなくアスレチックスの本拠地ゲームだった。MLBは、今季、世界への拡大戦略のために日本、メキシコ、英国の3か所で公式戦を開催するが、その戦略に沿って読売新聞社が、アスレチックスから、本来はオークランドで行われる興行権を買ったのである。アスレチックスは、本拠地では、お客さんが入らず興行に苦戦しているため、平均観客動員数以上の興行収入想定の値段で2試合分の興行を買ってくれるのならば、渡りに船なのだ。

 過去に日本でのメジャー公式戦は2000年のメッツ対カブスを皮切りに4度行われているが、アスレチックスは2008年、2012年、そして今回と3度、日本で公式戦を行っているのは、そういう理由だ。
 2008年はアスレチックス対レッドソックスで松坂大輔が先発した。前回の2012年もアスレチックス対マリナーズ。3番を任されていたイチローは開幕戦で5打数4安打と大爆発している。
 
 ただ興行権の売買に関しては、リーグビジネスが徹底されているメジャーでは、MLBを通じて行われることになっていて、今回、読売新聞社は、プレシーズンマッチを含めて6試合分の興行権料としてMLBに対し10億円以上を支払ったとされている。

 さらに専用機での移動費用、滞在費など15日に来日して21日深夜に離日するまでの一切の経費を読売新聞社が負担した。もちろん、東京ドームの使用料もだ。その代わりカジノ法案成立を受けて日本進出を目論むMGMリゾーツがメインスポンサーとなったスポンサー料、チケット収入、国内の放映料、関連グッズの一部ロイヤリティのすべてが主催者に入る。それらを合わせると、今回は、10億円以上で興行権を買ったが、連日の“イチロー祭り”で十分に黒字が出たと推測されている。

 少し話が長くなったが、その読売新聞社から支払われた金額をMLBがアスレチックス、マリナーズに配分するが、基本アスレチックスの興行なので、ほとんどはアスレチックスへ行く。マリナーズには、海外でプレーする特別手当として選手一人につき推定約7万ドル(約770万円)が支払われたとされているが、チームへの補填金を含めて日本で試合を行うことへの金銭的なメリットはそうはない。

 マリナーズブランドを高めるなど、ビジネス面でのプラス効果は計り知れないが、「イチローの引退興行で金儲けをした」という見解は誤解なのである。むしろ、アスレチックスの方が“おいしかった”わけである。もちろん興行主の読売新聞社なども。

 またイチローのスタメン起用に関してだが、基本、メジャーリーグに忖度はない。過去にサッカー界では日本人プレーヤーの欧州移籍の際にスポンサーがバックにいて、その出場に対しても忖度が行われるケースがないわけではなかったが、そういう忖度や差別的起用に対して厳しい目のあるアメリカのプロスポーツでは、徹底した実力主義が貫かれている。その実力主義をあいまいにしないために、代理人が権利を主張して、あらゆる契約で縛られているわけだ。
 
 イチローはオープン戦で24打席ノーヒットの大不振のまま20日の開幕戦に「9番・ライト」でスタメン起用された。
「エンジンがかかってきた。打ってくれると思う」と、前日の会見でサービス監督は語っていた。もちろんイチローの引退は知っていて、「シアトル・マリナーズの組織として(起用に)意義がある」と、偉大なるレジェンドに対するリスペクトの意味をこめて、スタメン起用したが、そこにはメジャー3089本を打ってきたイチローの潜在能力への期待もあった。特別に28人枠に拡大される東京での2試合のロースター復帰については契約にあったようだが、試合出場までが契約にあったわけではない。

 イチローは「2打席限定」でヒットを打てないまま交代。その試合後、サービス監督は「明日も使うが、スタメンがどうかわからない」と語っていたが、蓋をあければ翌日も、スタメンで使い、前日のような「2打席」ではなく「4打席」立たせた。

 実は、その開幕戦では一塁のボーゲルバックが、左肘に死球を受けて、翌日の第2戦に出場することができなかった。外野と一塁兼用のジェイ・ブルースを一塁で起用したが、もしもの事態に備えてベンチに人を置いておかねばならないという事情もあった。この日は、イチローがフル出場するチーム事情があったのである。あの感動的な試合と、真夜中の会見でイチロー節が炸裂したため、それらの事情は、すべて忘れ去られてしまったが、「客寄せの引退興行」あるいは、「公式戦を引退興行に使って失礼」の指摘は、的外れである。そもそも、マリナーズは、この開幕カードで2連勝したのである。

 アスレチックスは、遠くアジアの地まで来て敗れたが、ビジネス的には旨味を得てマリナーズはイチローの引退を劇的に演出してチームの“株”を上げ、しかも2連勝した。興行権を買った読売新聞社も含めて、誰もが“ウインウイン”の東京ドームでの開幕2連戦だったのである。
 ちなみに関係者の間では早くも「次は大谷翔平を公式戦に呼べないか」との話も飛び交っている。そもそも、今回、エンゼルス招聘案もあったが、大谷の手術と同時にメキシコ系オーナーのアルトゥーロ・モレノ氏が、メキシコでの公式戦を選択したという事情もあったという。


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